【裁判員・体験 ③】「裁判員」に選ばれ、裁判出廷。初公判から最終公判まで。


 

1. 裁判員の服装は?

2. 公判の概要。

3. 振込金額(日当、交通費)は?


1.《裁判員の服装》


特にスーツ着用ではなくて良いとの事前説明あり。裁判員に選ばれたからといって、服をわざわざ購入する必要はなく、普段着で充分とのことでした。

しかし裁判所で裁判長と同じ並びに座っての公判になるからなのか、ジーンズなどのラフな格好の方はいませんでした。


○男性の服装:シャツ・セーターにチノパンやスラックス。(全員ノーネクタイでした)

女性の服装:シャツ・カットソー・セーターにパンツの方が多かったです。(公判の日だけ、ジャケットを着ている方もいました)


《個人用ロッカー鍵付き》


裁判員の休憩室 兼 評議を行う部屋に各個人用の鍵付きのロッカーがあり、そこに荷物や貴重品を置く事ができます。

裁判に関する書類やメモ用紙も、持ち帰り禁止だったので、毎日、ロッカーに置いて帰るように指示がありました。

2. 公判の概要


 <第1回公判>

 ※公判そのものは公開されているので、守秘義務には入らないそうです。

○検察官より
事件の日の細かい内容説明や証拠写真などが提示されました。

※ドラマ「HERO」では、木村拓哉さん演じる型破りで正義感の強い検察官が印象的でしたが、淡々と事実を述べる検察官の方でした。ま、当たり前ですよね。

○被害者の意見陳述
『被害者は被告人を許せない気持ちはあるが、報復が怖いので重い罪状は望みません。』という内容で、私たち裁判員たちは、もし自分の娘がこんな気持ちを持ち続けて生きていくのだったら・・・と切ない気持ちでいっぱいになりました。

●被告人の弁護人より
被告人の前科、仕事状況、生活状況、家族構成などの説明あり。

※弁護人説明の間、被告人はニヤけたり笑いをこらえた様子で、私たち裁判員たちは罪を犯した反省意識が全く感じられないよね…と、ドン引きでした。


※ 「法の下の平等(ほうのもとのびょうどう)」とはいうけれど・・・

裁判員のある男性は、「一生懸命に勉強して弁護士になっても、あんな被告人の弁護をするなんて弁護士って仕事はキツイね★」とおっしゃっていました。


事前に、公判の流れの書類を渡されます。
法律の素人である裁判員たちにも理解しやすいように補足説明をくわえてあったので、とても分かりやすかったです。

裁判長と裁判官2名、裁判員6名と補充裁判員2名で審議します。
裁判はかなり細かく休憩を挟み、その時間で質問内容の確認や裁判で分からなかった点などを裁判官と共に話し合いました。


 〈補充裁判員とは?〉

補充裁判員は裁判員と同じで審議にも参加します。
裁判での発言権はないですが、裁判員の後ろの席で裁判に出廷します。万一、裁判員が何らかの理由で参加できなかった場合はその代わりに裁判員になります。

初日は緊張もあって、すごく疲れてしまいました。 朝9:30に集合して休憩をはさみながらも午後5:00までがあっという間でした。

「お昼休憩」は1時間。外食に行くのは面倒だったので、お弁当(400円位)を毎日注文していました。(裁判官の方が注文してくれて、毎日、裁判長と裁判官と裁判員達全員でのんびり食べて過ごしました)

「休憩室」には、飲み物やお菓子を用意してくれていました。休憩時には、コーヒーやお茶、チョコレートなどを自由に食べたり飲んだりできるようになっていました。

 <4日目、評議日(最終公判の前日)>

 罪状を決定し、量刑を出します。とてもとても疲れる1日でした。


 執行猶予とは? 実刑とは?

執行猶予とは?
➡執行猶予付きの有罪判決を受けた人が、執行猶予期間中、再び罪を犯さずに生活できるようにするために定期的に保護観察のところへ通って、面接などを通して生活改善や就労を促す。保護観察は、法務省職員の保護観察官やボランティアの保護司行うのが一般的なようです。

実刑とは?
➡執行猶予が付かずに、刑務所に実際に収容される懲役刑、禁固刑のこと。
実刑になっても、「執行猶予」が付くと、すぐに刑務所に収容されることはない。他に事件を起こさずに執行猶予期間が過ぎれば、実際には刑務所に行くことはない。
ちなみに、「実刑判決」とは、執行猶予が付かない判決の場合に、刑務所に実際に収容されて、服役する判決のことをいう。

「執行猶予」にすべきか・・・。 「実刑」にすべきか・・・。

ただ、裁判員として「こんなひどい事をしていて反省の気配さえも感じない」という意見でも、過去の事例をもとに量刑を決めなければいけません。
“被告人の更生の為”には、どちらが良いのかという議論もあり、とても長い時間をかけて意見を出し合いました。 結局、多数決で量刑を仮決定しました。

 <5日目、最終公判>

 最終日は判決という事で、朝に集合して、裁判長から「昨日の量刑で最終決定して良いのか?」という最終確認がありました。
前日の多数決の結果のままで、判決していただくことになりました。

その後、公判までの間の約3時間が自由時間になりました。
朝の最終確認後、裁判長は判決文(結構長文でした)を作成するとのことでした。

裁判所から、家が近い方は一度帰宅して、午後にまた集まっていました。
私は、裁判所近くのお店でゆっくりランチを食べて、本屋さんでコーヒーを飲みながら時間をつぶして過ごしました。

 〈判決言い渡し〉

 裁判長が量刑を発表し、判決文を読む間、被告人は、量刑が不服だったらしく、裁判員と裁判官一人ひとりをじっくりと睨みつけていました。

別室への移動の際、裁判員達で雑談。

「やはり被告人は反省していないから、また絶対くり返すだろうね。次回からは、バレないように巧妙な手口になると怖いね。」と、とても不快な気持ちで終わることになりました。

この後、休憩室に全員で戻り、裁判長より感謝状と記念品バッジが手渡されました。


3. 振り込み金額、日当、交通費は?

  裁判員選出1日と裁判員5日間、合計6日間で振り込まれた総額
日当・交通費込みで 37,000円でした。


◆裁判員を経験した感想

裁判員は5日間という期間でしたが、とても長く感じました。

量刑を決める際は、過去の事例・判例を全員でずっと閲覧していきます。こんなに沢山の悲惨な事件がおきているということに驚愕でした。新聞に載っている事件は氷山の一角なんだと実感。

でも、裁判員達の疑問として「過去の判例を元に量刑決定するのなら、この裁判員制度に意味はあるのか?」というも意見もでてきました。
裁判員制度ができて10年。
裁判長の話によると、裁判員制度ができて、少~しずつ判決内容・量刑も変化してきているそうです。

・わいせつ罪、わいせつ致傷罪など➡「実刑」は悪質な再犯者のみで、ほとんど「執行猶予のみ」だったが、執行猶予の期間が長くなったりして量刑が重くなってきているそうです。(被害者の心の痛みをくみ取った判決に少しずつ変わってきている)

・逆に、介護疲れでどうしようもなくて殺人事件や殺人未遂事件などを起こした場合の罪➡量刑が軽くなってきているそうです。(長期間の介護疲れでやむを得ず加害者になった背景をくみ取った判決に少しずつ変わってきている)

つまり、わいせつ行為は、被害者の心情も考慮されてきて重罪化。 よく新聞でみるような介護で疲労困憊している状態で加害者になってしまった方は、その生活背景を考慮して罪が軽くなってきているとのこと

これから長~い時間をかけて、裁判員裁判によって、少しでも救われる方がいたら・・・ 参加できて良かったと思いました。

裁判員裁判に参加して数年経ちますが、日々のニュースや新聞記事をみるたびに、事件の背景まで深く考えるようになったことが裁判員の経験して一番成長したことだと思いました。