_お姉さまが、一番嫌っている力を出したということは、それほどまでに怒っているんだろう

 けれど、こうなったお姉さまを止めるには普通の力では打なのは分かっている

 だから、私は・・・!!!_

 

数刻前、帝雫は、自身の両親が拘束されているのを、目の前にいる地底人の水晶で見た。

驚きと怒りのあまり、我を失い古の契約『破壊の女神 フィレスティナ』の姿に飲み込まれていた。

瞬く間に、その場にいた地底人は彼女の精神破壊の檻に収監されていったのだった。

 

帝雫「…ふふっ」

地底人「おい、何がおかしい」

帝雫「いいえ、別に何も?あ…その折に触れないほうがいいわよ?精神が破壊されたくなければ」

 

紅玉は、外に遮断結界を三重に施し、帝雫に問いかけた。

 

紅玉「お、お姉さま?自我がおありなら、せめてフォルティスになってください。その力だと、私の結界が持たないよ・・・」

 

帝雫は、横目で紅玉を見てほほ笑んだがまた前を見た

 

紅玉「お姉さまっ!あぁ‼・・もう!古の女神セデーニアよ!私に力を、今すぐに!」

 

紅玉が唱え叫ぶと、古の契約セデーニアの姿に変わった

 

紅玉「お姉さま、悪く思わないでよね!」

 

紅玉は、淡い陰陽玉の宝玉を創りだすと、その中に帝雫を取り込み自分も飛び込んだ。

宝玉の中でどこからか声が反響し紅玉に問う

 

 【古に基づき片割れの助けになるために融合しますか?】

 

紅玉「はい!・・・お姉ちゃん、融合解除頼んだからね」

 

宝玉が一瞬小さくなったかと思うとシャボン玉のようにやさしく割れ、そこには、フィレスティナの帝雫の姿とセデーニアの紅玉の姿は無く、女神ハトホルの姿をした帝雫が其処に居た

 

帝雫「・・・」

地底人「お、おい。もう一人はどこに消えた?」

帝雫「私たちは今、多重神になってるの」

地底人「あ?」

帝雫「だから・・」

 

その言葉を合図とともにハトホルの姿は、殺戮の女神 セクメト」に変わった

 

紅玉「だから、こういう事が起きるんだよ」

地底人「なっ⁉」

紅玉「びっくりした?」

地底人「ど、どういう状態だよこれ・・・」

 

地底人が驚いて固まっているため、紅玉は説明をした

ちゃんと帝雫の許可をもらってから

 

紅玉『お姉様、いいよね?説明しても』

帝雫『いいわよ、説明してもわからいだろうけど』

紅玉『それでも、説明はいるでしょ』

帝雫『任せるわ』

 

紅玉「今の私達は、一身二魂の融合宝玉による多重神。

   私の時は、殺戮の女神 セクメト

   お姉様の時は、治癒の女神 ハトホル

   なんだよ?わかったかな?」

地底人「は?っていう事は、、お、お前は、セクメトなの   

か?」

紅玉「そうだよ」

地底人「こ・・」

紅玉「こ?」

地底人「こ・・殺さないでくれ‼わ、悪気はなかったんだ。お、お前らの両親の画はカタリベから渡されたものだ、今は二人はカタリベに幽閉されている・・!!だ、だから!・・・っ」

 

モーション無しで帝雫に変わる

 

帝雫「そんなことわかっていたわよ。ただ、まぁ。あんな画出されたら怒るに決まっているでしょう・・実行者が貴方じゃなくても」

地底人「わ、悪かった。だから、赦してくれ・・」

 

帝雫は、首を横に振って静かに言い放った

 

帝雫「いいえ、私が・・私たちが赦しても。あなた達の王は許さないでしょう…。最後の赦しは、あなた達の王達に赦しを得なさい」

地底人「なっ・・・あ、あの方たちは亡くなってるんじゃ・・」

帝雫「はぁ・・少し考えればわかることでしょう。あなた達が生きているということは、そういう事です」

地底人「そんな・・まさか。いや・・」

帝雫「本人に登場してもらいましょうか」

地底人「え・・」

帝雫「その前に、私達も解除しましょうか」

 

帝雫【古の契約に基づき、融合解除を求める】

  

  【古の契約に基づき融合解除を始めます】

 

暫くすると二人は、大きなシャボン玉になり二つなり弾けた

割れた後いたのは、

白銀の力 生命と転生の女神 イナンナの姿した、帝雫

暗黒の力 輪廻の女神 ウェルサの姿をした、紅玉

が姿を現した。

 

帝雫「ふぅ・・・」

紅玉「・・・」

帝雫「紅玉?どうしたの?」

紅玉「お姉様、いつから正気だったの?」

帝雫「檻作った後くらいかしら」

紅玉「結構最初じゃん!!」

帝雫「だから目配せしたでしょ」

紅玉「え?あれって目配せしてたの?不気味に微笑んでたから怖かったんだけど」

帝雫「・・怖かったって。ほほ笑んだだけじゃない」

紅玉「うぅ・・」

帝雫「でも、紅玉の対応は当たっていたわね。フィレスティナの姿から元に戻るの難しいし」

紅玉「・・・一身二魂の力って使うのはいいけど解除がお姉様にしか出来ないからお姉様が正気だと判断したから使ったんだよ」

帝雫「・・?紅玉もできるでしょ」

紅玉「解除申請は、主以外の時は手続きの術が難しくて私には無理だよ」

帝雫「術式の不器用さぐらい直しなさいよ」

紅玉「っ・・無理!」

 

そうこう話しているうちに、扉の外からかすかな話し声が聞こえてきた

 

『開けてください』『帝雫様は無事ですか?』

『無理です』『今は入れません』『落ち着いてください』

 

帝雫「あら、助っ人とお迎えが来たみたいね」

紅玉「お迎え?・・あぁ・・。」

帝雫「あなたの主・・・いえ、王と王妃達が来たみたよ」

地底人「・・・そんな馬鹿な、あの方達は俺たちの目の前で死んだんだ!!」

帝雫「扉の向こうにいる人達を喚べば分かることよ」

紅玉「でもお姉様、扉開けると結界が破れて二人にばれるよ?」

帝雫「扉開けるなんて言ってないわ。喚ぶっていったのよ」

紅玉「よぶ?・・喚ぶって・・・まさか、空間移動させる気?」

帝雫「そのとおりよ」

紅玉「まぁ・・それが一番か。通常は、同意を得なきゃだけど時間もし無しね」

帝雫「扉の外には、悠太達いるでしょ。・・そういえば、紅玉はだれが王か知ってるの?」

紅玉「え?・・・伽羅ちゃんじゃないっけ?あと・・ル、ル・・ルキアみたいな名前の人!」

帝雫「ルキウスね?よく覚えてたわね」

紅玉「だって、生き返らせたの私達じゃん・・殺したのは覚えてなくても、被害にあってしまった人を蘇らせたのは覚えてるに決まってるじゃん」

帝雫「この姿でね」

紅玉「そうだよ・・この姿で・・・ま、待って!?」

帝雫「?どうしたの?」

紅玉「ここに喚ぶんだよね?・・ばれない?」

帝雫「・・いつかバレることなら、早いほうがいいでしょ」

紅玉「・・そ・うだね」

帝雫「嫌?」

紅玉「嫌われたら嫌だなーって」

帝雫「あの二人が嫌うと思う?まぁ、嫌われてもしょうがないとは思うけど」

紅玉「・・なんで、そんなに楽観的なの⁉」

帝雫「考えても意味ないし」

紅玉「そうだけど・・」

帝雫「本人聞くのが一番でしょ・・だから、喚ぶわよ?いいわね」

紅玉「・・わかったよ!」

 

帝雫『悠太、聞こえる?』

悠太『帝雫様!!ご無事ですか!』

帝雫『私を誰だと思ってるのよ・・』

悠太『す、すみません!』

帝雫『それで、悠太・・扉の前に巫女たちいるわね?』

悠太『はい。先程から皆様入らせろと・・』

帝雫『やっぱり・・・』

悠太『入らせますか?』

帝雫『扉は開けないで、じゃないと結界が切れて黎達にバレるから絶対に開けないで』

悠太『それでは・・』

帝雫『喚ぶわ、悠太、皆を陣の中へ』

悠太『かしこまりました』

 

暫くすると、菖蒲・龗妃達が転移してきた

古き時代死に、そして蘇らせた王と巫女も共に・・

 

龗妃「帝雫様!!ご無事ですか!!・・・え?・・お二方・・そ、その姿は・・・」

紅玉「ほらぁ‥やっぱりこの姿はダメだって__」

伽羅「・・その姿神は、まさか___!!」