善い尻
男色には、好ましい体と 好ましくない体というのがあるらしい。
それは江戸の色道指南書である『好色訓蒙図覚』のある項に、上品な交接器(上豚)と書かれている。(以下抜粋)
衆道の上品(じょうぼん)といふは、第一、後門に肉多く、ふくらかにして、肌細やか也。谷深くして、菊座柔らかに、四十二の襞、緩やかにして、口締まらざれば、濡らしに従ひしなやかに、なめらかになり給ふ也。
是、上々の御後、殿様の御物、千石船也。此れ御後台、径山の井手、西湖の十景を備へしを、利休が茶湯、ほらしさみて、たいはを忘れたるが如し。
上品な尻の図
(((要訳))
男色の相手として最上品のものは、臀部の肉付きがよく、膚が極め細やかで、臀裂が深くて肛門が柔らかで、しかも、四十二の襞(ひだ)が緩やかである。入り口が固く閉まっておらず、濡らすにしたがって、しなやかになり、滑らかになるものである。これが最上の交接器であり、このような上品は殿様の愛玩するものであり、千石船のような宝物である。
中国刹江省にある径山寺の堰止湖の西湖の佳景十景を具えているようで、それは、千利休の茶の湯のようなしおらしさであり、言葉を失ったようにすばらしいものである。