子どもの発達は、特に言語の発達段階にある乳幼児期においては遊ぶことによって、自己表現が可能になり、色々なことに適応していくことが分かっています。我が国でも、健康な子供に遊びの楽しさを教える施設がたくさん出来ています。

 しかし、日本の遊びはレクリエーションとしての意味合いのほうが大きく、欧米における病院内での遊びの専門家による、病児の健康な部分のケアーを積極的に行うところまではいっていません。

 ――遊びの効果とは?

 専門家によれば、興味のある玩具をとうして、見たい、聞きたい、触りたいという意欲と動機につながり、運動、情動、認知面での発達が促されます。

 遊びをとうして、人とかかわり、言語が促され、コミュニケ―ション力が育ち、友達とのルール、道徳概念などを覚えていきます。

 ――入院児の心理的な反応とは?

 一般的には入院すると、抵抗、争い、泣き叫びなどの積極的反応と、睡眠障害、食欲低下、コミュニケーションの低下、活動性の低下、退行行動などの消極的反応が起こってきます。

 ――治療的遊びの意味は?

 不安を軽減する、回復を早める、コミュニケーションを回復する、入院や手術などの準備となりうるなどが確認されています。

 ――日本の取り組みとしては?

 身体面のみならず、心理的サポートを含めた患者家族中心ケアーというべき考え方の導入と、遊びのサービスを提供する専門家の養成と臨床現場への早期実現が望まれます。

 病気による背部痛は後頸部から腰背部までと幅広く、したがって、原因として筋骨格系疾患、心血管系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、腎尿路系疾患など幅広く考える必要が有ります。

 ――心血管系の背部痛では?

 狭心痛では、胸骨裏面の絞扼感(こうやくかん)以外に頸部や肩に放散痛を起こすことが有ります。

 大動脈解離や肺血栓塞栓症でも背部痛を起こすことが有ります。

 ――呼吸器系では?

 胸膜炎や気胸では、肋間神経の枝が刺激されて背部痛が起こります。

 ――消化器系では?

 胃・十二指腸潰瘍では、病変が後壁に拡大すると背部痛が起こります。

 急性膵炎では、仰臥位(ぎょうがい)で痛みが増悪します。

 腸閉そくでは、痛みが疝痛(キリキリとした痛み)であることが特徴的です。

 ――腎尿路系では?

 尿路結石では、尿管や腎被膜の拡張により生じ、激痛を来します。

 ――その他では?

 帯状疱疹では、ウィルスが増殖した神経領域に、灼熱感やピリピリとした激しい痛みを感じます。

 ――背部痛のレッドフラッグサインとは?

 大半では、特異的な治療をせずに自然寛解しますが、腰痛症でもみられるレッドフラッグサイン(前回でお話しした)のある場合は、緊急を要する重大な疾患の可能性があるため注意が必要です。

 腰痛を訴える患者さんはきわめて多く、日本人の2割前後の人が毎年腰痛を経験しています。腰痛の訴えは医療機関受診原因では第5位を占めると報告されています。

 ――腰痛の原因としては?

 原因疾患が明らかな特異的腰痛と呼ばれるものには、腫瘍(悪性腫瘍の腰椎転移)、感染(膿性椎間板炎)、骨折(圧迫骨折)の3大原因や椎間板ヘルニア、脊柱菅狭窄症などがあります。合併症として神経症状(下肢痛、下肢しびれ、下肢の麻痺、排尿障害など)を伴うことが多いでしょう。

 原因疾患が明らかでない非特異的腰痛と呼ばれる場合は、椎間板の加齢・変性、体幹筋力の低下、軟部組織の拘縮などで起こりますが、その特定が困難なときがあります。

 ――最近の新しい腰痛分類では?

 腰痛診療に役立つようにレッドフラッグサイン、グリーンライト、イエローフラッグサインに分けられます。

 ――レッドフラッグサインとは?

 年齢要素(20歳未満か55歳以上)、ベッドで休んでも症状が進行する、全身状態が良くない、説明のつかない体重減少があるなどの兆候は特異的腰痛の可能性が有ります。

 ――グリーンライトとは?

 神経学的異常や器質的異常のない予後良好な腰痛で、全体の85%程度がこれに当てはまります。

 ――イエローフラッグサインとは?

 腰痛に対する不適切な態度と信念(自ら活動性を下げ、治療に難渋すると思いこむ)、仕事へのやる気の喪失(仕事への満足度低下、休職など)、感情の問題(うつ、過剰なストレス)などの心理社会的因子のみられる兆候は腰痛の遷延化、悪化を招きやすいといわれています。