モウリーニョはつくづく運のある男だ。

もちろん、彼が運だけの男でないことはわかっている。
選手選びから、チーム作り、戦術の徹底ぶりなど、彼が優れた監督であることはまちがいない。

しかし、今期のインテルがヨーロッパ最強のチームだったかといえば、決してそんなことはないだろう。

ちなみに、私はバルセロナのファンなので、モウリーニョが憎くて仕方ないのだ。
そのあたりを考慮して、読んでください。
インテルファンの人がこれを読んで、気を悪くしたら、すみません・・・・


今期のインテルはたしかになかなかいいチームではあった。
しかし、相手チームの中心選手がきちんと出場していれば、同じ結果にはならなかったはずだ。

スポーツに「もし」はない、ということを知っていて、
あえて「もし」を述べているのだ。

結局のところ、インテルの魅力は堅固な守備とスナイデルだ。
そして、その両方を上手につなぎ、バランスをとっているキーマンがカンビアッソだ。

このコンビが本当に憎らしい。
どうでもいいことだが、この2人、背格好も髪型もけっこう似ている。
(まあ、髪があればの話だけどね)

インテルにスナイデルがいなければ、相手チームに与える脅威は格段に下がるだろうし、
カンビアッソがいなければ、もっと御しやすい普通のチームに 成り下がる。

バイエルンやバルセロナにとって、どちらがよりやっかいな選手だったかといえば、
おそらくカンビアッソだろう。

いずれのチームも、インテルと点の取り合いをするのは望むところだ。
「攻撃力でインテルなんぞに負けるわけがない」とファン・ハールも、グアルディオラも、
ロッベンも、メッシも、シャビも思っていたに違いない。

もしかしたら、モウリーニョも心のなかではそう思っていたかもしれない。

つまり、スナイデルはものすごくいい選手だが、
インテルの攻撃力そのものは(少なくとも、バイエルンやバルセロナにとって)一番の問題ではなかっ たのだ。

問題は守備だ。
もっといえば、カンビアッソだ。

つまるところ、バイエルンも、バルセロナもカンビアッソをうまくかわすことができなかったのだ。

そんなわけで、「カンビアッソはすばらしかった」と賛辞を贈りたいところなのだが、
敗れた二つのチームとも「ああ、あいつさえいれば・・・」という思いがあるからこそ、
悔やんでも悔やみきれない。

モウリーニョの戦術や、カンビアッソの支配力はたいしたものだが、当然限界はある。
そして、バイエルンも、バルセロナも、そこを突くだけの戦力を持つチームだった。

メッシとシャビとイニエスタがいれば、メッシとイニエスタの両方を止めることはできなかっただろうし、
ロッベンとリベリーが両サイドにいれば、カ ンビアッソのカバーリングが遅れる場面が何度も見られたはずだ。

しかし、インテルと対戦するとき、バルセロナにはイニエスタがおらず、バイエルンにはリベリーがいなかった。

そんなこと、いまさら言ったってしょうがないだろ! 
と言いたい人は言ってください。

それでもなお「ああ、イニエスタがいれば・・・」と言いたくなるのがファン心理なのだ。
(いきがかり上、バイエルンファンの心理も代弁しています・・・)


おそらく、モウリーニョはわかっていたはずだ。
メッシとイニエスタ、ロッベンとリベリーの両方を90分間抑え込むことはできないが、どちらか一方ならできる。

そして、イニエスタやリベリーが出場しないと知ったとき、
彼のなかで勝利へのゲームプランが明確にできあがったのだ。

もちろん、プラン通りに試合を運んだインテルはたいしたものだ。

しかし、シニカルなポルトガル人がつくりあげたチームが勝つには、
最後にちょっとした運が絶対に必要だった。

その最後の運がなければ、相手の攻撃力に翻弄され、
呆然と天を仰ぐカンビアッソを見ることだってできたはずだ。

しかし、そうはならなかった。
その運をモウリーニョがたぐり寄せたのだ。
あの男はときどきそういうことをやる。
じつに憎らしい男だ。

どうやら来期はレアルの監督になるみたいだが、あいつの勝手には絶対にさせない。
ちょっとばかりイイ男だからって、好き勝手にされてたまるか。
おまえなんか、金満チームがお似合いだぜい!

細身のスーツの着こなしなら、グアルディオラの方が上だぞ、ふん!