半世紀生きてもセンス・オブ・ワンダー/伊藤潤二(54歳) | だからおっさん最高だって言ってんだろ

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夏ももう過ぎてしまいますが、本日はホラー漫画家です。

 

ホラー漫画家と言えば誰を思い起こすでしょうか。

楳図かずおとか、山咲トオルとか、日野日出志とか、つのだじろうとか、古賀新一とか、

押切蓮介とか、洋介犬とか、水木しげるとか、一応手塚治虫も・・・あっちょっと待って多い。

そんな彼らと並び、日本の代表的なホラー漫画家として君臨しているのが伊藤潤二先生です。

 

 

私が最初に触れた伊藤潤二作品は、ホラーではなくエッセイ漫画「よん&むー」でした。
(正式には「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」ワイドKC 週刊少年マガジン)
皆さんもご覧になったことがないでしょうか。ホラー風味で描かれた猫漫画を。
その異様とほのぼのを無理矢理ちゃんぽんした画は一時期Twitterにも流れ有名になりました。

 

この作品は普通のほのぼの猫エッセイを、伊藤潤二が長年培ってきたホラー手法を用いて
ホラー風味でお届けするという、アイスの天ぷらみたいなクセになる不思議テイストでした。
ホラーというのはシュールと紙一重な所があるため、一歩間違うと事故なのですが
伊藤潤二作品は他作品でもかなりこの紙一枚がしっかりと分けられている感じがします。

 


そもそもホラー作品とは、日常に潜む不安や謎が元となって醸造されているものです。
以前、中川いさみ氏が伊藤潤二にインタビューを行った漫画

伊藤潤二自身が「日常の面白いとか不思議に思ったシチュエーションをメモする」ことを
自身のホラー漫画のネタ作りとしている、と話している場面がありました。
ここ、大事なんですけど、
つまりですよ。伊藤潤二は齢54にしてまだ日常に「不思議」を感じてるんですよ!!!


おわかりいただけるでしょうか。54と言えば自他共に認めて良いおっさんです。
そのおっさんが、仕事とは言え、いや仕事とは下手すると関係無く自然に、
日常で「不思議」を、センス・オブ・ワンダーを、感じているということですよ。
今これを読んで頂いている皆さんがいくつか私には分かり兼ねますが
およそ大人になってから毎日の様に「不思議」を感じる事がどれくらいありましょうか??

 

 

私は確かにおっさんの奥ゆかしさと佇まいに日々健気さと萌えを感じていますが
センス・オブ・ワンダーに遠く及ばないでしょう。及んでたら日々心臓発作で死んでる。
それを伊藤潤二は毎日感じて、毎日何か恐怖の種や不思議の種を発見して、
新鮮に違いない世界を生きているのです。この冒険少年精神たるや!!


そしてここでもう一つ恐ろしい事に、伊藤潤二の見た目は大変穏やかなおっさんなのです。
それはもう、学習院大学で文学部教授やってますって言われたら信じるレベルです。
いやまあこういう表情もできるんで実際は顔の下に込めた熱量すごいんだなと思いますが。

でもやっぱりこういう二重三重にギャップ萌えが潜んでいるおっさんは大変良いですね。
是非富江おっさん版描いて欲しいもんね。進んで取り込まれに行きます。ハイ。


そんな訳で、もしグロやホラーが怖いという場合でも、
「よん&むー」はフツーに伊藤潤二が当然の如く可愛いし、猫も可愛いし、
しかも単行本1冊分なので大変お得に伊藤潤二の魅力が味わえます。是非読め。
さて次回も漫画家さんで行こうかな。どうぞお楽しみに。