昔、西部開拓時代のアメリカ。

 開拓現場で働き口を求めて大勢の男たちが妻子のもとを離れ、アメリカ大陸西部の各種建設現場や炭坑へと出稼ぎに赴いていた。

 大勢の男たちが生活することになる労働現場には、さまざまな商売人も訪れて労働者相手に商売を営んでいた。

 レストラン、居酒屋、ギャンブルの胴元、売春屋なんてのもやってきていた。

 西部のなにもないはずの開拓現場は、ささやかながらも経済活動でにわかに活気づいた。すると、労働者の男たちの中には、せっかく貰った給料をもらったそばから散財する者も出てくる。

 男たちの中には妻子を残して出稼ぎに来ている者も少なからずいて、郷里(妻子のもと)に仕送りをしなければならないのに、給料を使ってしまって、妻子への仕送りがなかなかできない者も出てくる。

 

 そこで雇用者側に一計を案じる者が現れました。

 給料の渡し方を少し変えてみたのです。

 

 ひとつの労働者の集団にはこれまで通り給料日にひとつの封筒に給料全額入れて渡す。

 もう一つの労働者の集団には、給料の封筒を三つに分けて(給料の金額を三等分して)渡してみました。

 

 すると、給料の封筒を三つに分けて渡した集団の方が貯金ができているし、妻子への仕送りもしっかりできている傾向が高いことがわかったそうです。

 

 給料の封筒を三つに分けて渡される労働者たちは、封筒の一つには手を付けづに貯金に回すか妻子への仕送りに充てるという行動に出ているようです。

 このように、収入を何等分かにすると、貯金がしやすいらしいということ。

 

 この例を参考に、なかなか貯金できない人が貯金する場合、どうすればいいか。

 給料が入ったら、まず、貰った給料から貯金したい金額を抜いて、それを別口座に移すなりなんなりして、“移したお金には手を付けない”というのは、なかなか効果的ではないでしょうか。

 実は私が、若いころ、こういうふうな形で貯金をしてきたのです。

 給料をもらって、一か月たって、残った金額を貯金に充てるということではなくて、給料をもらった時点で貯金したい金額を抜いてしまうという方法。

 もらった給料から貯金したい金額を予め抜いて、残った金額でやりくりするということです。

 

 まあ、この方法も、言うが易しなんですけどね。