『海軍めしたき物語』(高橋孟)読了。

本書は1979年に新潮社が出版したものを、このたび中公文庫が復刊。著者の高橋孟

は1920年生まれ(1997年死去)の漫画家・イラストレーターで、本書は高橋が大東

亜戦中の自らの経験をまとめたエッセイで、本人が手掛けたイラストも多数掲載され

ている。

高橋は1940年(昭和15年)に徴兵検査を受け、翌年に佐世保海兵団に入団し、4ヵ月

間の訓練の後、戦艦霧島の烹炊兵(めしたき兵)となる。本書では以降、1944年(昭

和19年)までの高橋の経験が述べられている。今回、オレは初めて本書を読んだが、

とても面白かった。

 

本書を購入したのは、タイトルと本屋でパラパラめくった際に目についたイラストが

懐かしい良い感じだった程度の理由で気軽に読み始めたのだが、まず高橋が霧島の乗

員であったことに驚き、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦にも参加していたことに驚い

た。そして、真珠湾やミッドウェーに関する描写も、成程、一兵士のリアルというの

はこういうものなのだと、とても納得できた。

オレたちのような実際の戦争に関わったことのない世代にとって、戦場といえばア

ニメやゲームの中の出来事で、しかも烹炊兵などは、ほぼ出てこないので(『機動戦

士ガンダム』のタムラコック長くらいしか思い浮かばない)、実際にどういった職場

環境で、どういった仕事をしていたのか、本書で初めて具体的に想像することがで

きた。

 

また、高橋の筆致がユーモラスなので、すらっと読んでしまうのだが、旧日本軍の

現場の環境の厳しさにはゾっとするな。

戦争の現場に参加すること自体はもちろん厳しいのだが、古兵による新兵へのしご

き・イジメの類の話が多い。めししゃもじ(しゃもじといっても樫材の1mくらいの

棒。巌流島で武蔵が使うやつを小さくしたイメージ)で、ヘマをした新兵の尻が黒く

なるまで殴るといった話は、本当に反吐が出そうになる。

旧軍に限らず、現代に至っても、日本人がつくる組織は一定の割合で、しごきやイジ

メの巣窟みたいになるところがあるよな(今夏、甲子園でも広陵高校が話題になっ

たが)。

 

オレも小学生の頃に通わされた進学塾がスパルタなところで、男性教員は竹刀、女

性教員は木製の棒(「喝棒」とか言ったかな?)を持っていて、ことあるごとに頭や

尻を殴られたことがあり、今思い出しても腹が立つ。

昔に比べれば、この手の暴力は減っているのだろうけれど、これは日本の文化の中

では完全に滅んでほしいものの1つだな。