トランプ米大統領が、ICC(国際刑事裁判所)の所長である赤根智子氏に制裁を加え
ると発言したことに対する様々なリアクションが興味深い。リアクションの種類は
大きく3パターンに分けることが出来て、
①ICCという組織自体に問題がある、トランプの判断は当然だ
②法の支配を無視するトランプはけしからん、赤根氏を守れ
③トランプにきちんと抗議しない高市はけしからん
といったところだ。③は②の亜流(というか、タカイチガーの定型ムーブ)に過ぎず
余り価値ある意見ではないので、①②の2パターンがメインで良いだろう。
①②それぞれの主張者は、ざっくり分けると、保守系とされる論者・国防の基軸を
日米同盟と考える論者が①を唱え、旧メディアや左派系の論者・法曹関係者が②を
唱えている。
オレは「旧メディアの主張の反対が正解だろう」と考えているので、①の考え方に
妥当性があるのだろうと思ったが、それだけではいくら何でも乱暴なので、もう
少し考えてみる。
問題を整理すると、今回の件は2つの論点が含まれていると思う。1つは「国家主権
を超える権限を持つ国際的組織の是非」。もう1つは「ICCがこれまでどういった実
績のある組織か」ということ。
まず「国家主権を超える権限を持つ国際的組織の是非」について。
トランプの制裁理由は、要約すると、何かしらの選挙で選ばれたわけでもない機関
が国家主権を超えて介入してくんな、とうことだ(ルビオ国務長官のXでの投稿が
解りやすいのでお勧め)。
この是非は、なかなか難しいところで、民主主義がそれなりに機能している国家で
あれば、「独裁者が大虐殺をしたが国内の法律で裁かれない」といった問題は発生し
にくいので、国際組織にいちいち言われんでも良いと思うが、民主的な手続きが無い
国家であれば、そういった組織があれば良いのではないかということは、理想論と
しては頷ける(元外交官である山上信吾氏は、この論点から、極東国際軍事裁判の
ような「勝者の裁き」を避けるためにICCの活用を論じている)。
ただ2点目の問題である「ICCがこれまでどういった実績のある組織か」を見ていく
と、やや考えが変わってくる。
過去の事例を見ていくと、中国のウイグル問題や北朝鮮による拉致問題には発言し
ない一方で、パレスチナ解放人民戦線の訴えには対応する。
これはダブスタも良いところで、これらの取捨選択が何を基準に行っているかは
明らかにされていないが、なんだかアッチ系の基準があるのだろうと容易に想像で
きる。日本はICCの最大の分担金拠出国(¥45億程度/年)とのことだが、毎度の
パターンとは言え、国民の税金を使って何を応援してるんだろうね、我が国は。
理想的な国家連合のような組織があれば結構な話だが、国連にしろEUにしろ、わけ
のわからないイデオロギーに乗っ取られるのが関の山で、残念ながら「法の支配」
などというのは奇麗ごとに過ぎない。そして、これは歴史が進んでも簡単には解決
しないだろう(人間はそんなに賢い生物ではない)。
現実の世界で起こっている出来事を並べてみれば、今後の米中新冷戦構造(もしく
は多極化)する世界の中では、ICCのような胡散臭い組織に頼るよりは、自国の国力
を増強し、比較的価値観の近い・経済的な相互関係がある国と個別の関係を構築す
る方が現実的だと思うなあ。
あと、言っちゃ悪いが、赤根(とその応援団)は怪しいよな。村木厚子に通じるも
のを感じるね。