母は僕が小中学の時に

小さな小料理屋を営んでいた。

僕が高校に進学すると同時に

両親は離婚をした。

色々とあっての離婚。

きっと両親はそのタイミングを

待っていたのだと思う。

同時に母の小料理屋も閉店した。



母はその後、再婚をした。

再婚相手は母の営む小料理屋の客。

早い話が「ママと客」「女将と客」

という事だ。



後にその男性は義理の父になるのだが、

実の父とは違い、

温和で優しくて物静かで

それでいて何処か頼りない感じの

母より4歳位年下の男性だった。 



その義理の父は僕の母の事が

大好きで大好きでしょうがなかったようだ。

まぁ大嫌いよりは大好きでいてくれた方が、

息子としては安心だし、ありがたい。

気持ちは複雑だったけど。。。 



2人はセキセイインコとチワワを飼っていた。

セキセイインコの名前は

母の名前が「クニコ」だから「クーニー」。

チワワの名前は、

義父が「はーさん」なので「はーくん」。



そんなラブラブな二人だったが、

やっとこれからゆっくりと

老後を過ごそうと思っていた矢先、

7年前に母は胆管癌で亡くなり、

その5年後に義父は母を追うように、

寂しくこの世を去った。



自分が亡くなる事を

義父は察していたのか

カード類や大切な書類が入っている

金庫等の暗証番号等を

僕に渡して知らせて来た。


「9292」「9210」「92**」… 

数字の「92」が必ずついているのは

「クニコ」の「92」だから覚えやすいだろ?

って義父に言われ、そして後を託された。



そして義父が亡くなったのは

「9月29日」…   



死ぬ日まで92(クニコ)にしなくたって… 


どんだけ大好きだったんだよ…






僕は義父が亡くなって喪主を務めた。

それと同時に

以前の母の遺影とお位牌を作り変えた。


遺影は母と義父が出会った頃の

二人で寄り添っている写真。

位牌は

二人の戒名が寄り添っている

二人でひとつの位牌を作ってあげた。



あの世へ行っても、

二人仲良く一緒にいさせてあげたい。

せめてもの、親孝行ができたかな… 




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キムチチャーハン

ちくわきゅうり

菜の花の辛子和え 



母はこのちくわきゅうりを

小料理屋のお通しとして出していたようで、

僕達にもよく作ってくれた。