手術からちょうど1週間。
入院9日目。
今日は医師のGOサインが出れば退院である
昨夜は何故か殆ど寝れなかった。
朝方やっとウトウトし始めたと思いきや、
気がついたら朝だった。
手術当日の朝もそうだった。
この空気感、どことなく似ている…
昨夜、眠れずにまた何かを考えていた。
何を考えていたか、と言うと
今でもそれすら記憶から消えてしまいそうだから、
覚えている範囲で
忘れないように記しておこう。
死について。
正直、この病気になって
初期とか、早期とか、ステージとか
手術ができるとかできないとか、
転移とか抗がん剤、放射線とか
関係なく、全部ひっくるめて
僕はこの肺がんと言う病魔に侵された時点で、
自分は そう長くないだろうと思った。
おかげさまで手術も無事終えたが、
今でもそう思っている。
近い将来、というか確実に
健康な同年代の皆んなより寿命は短くなり
残りの余生を…なんて言ってられなくなった。
そんな事ばかり考えちゃって
寝れない。
眠らなきゃ、
寝ないと、
寝よう、寝よう、寝なきゃ!
って思えば思うほど
寝れなくて。
考えるのはいい。
考えないようにしようとしてもまた考える。
寝よう、寝なきゃって思うから
余計寝れない。
考えないようにしようって思うから
考えてしまう。
寝れなきゃ寝れないでいいじゃないか。
考えるなら考えればいいじゃないか。
いつかは、気がついたら寝てるし
今、一つ一つやるべき事をやっていれば
考える暇もなくなる。
無理に答えを見つけようとするから
わからなくなってしまう。
その時々でいいじゃないか。
人は生まれて来た以上
いつか必ず死ぬ。
僕は死ぬ事自体、怖くは無い
と現時点では思っている。
死ぬってどんな感じ?怖い?なんて
誰にもわかりゃしないし、
死んだ人にも聞けるわけがない。
ただ、残された大切な人達には
絶対迷惑をかけたくはないし、
ちゃんと準備だけはしておきたい。
それができなきゃ
残された方はたまったもんじゃない。
それは自分が身をもって経験してきた事。
だからそれだけは
迷惑をかける事だけはしたくない。
その為にも
今自分ができる事。
目の前の一つ一つのミッションを
クリアする事
やっぱり入院して
カーテンに覆われ
一人でベッドにいるって
良くはないね。
もうちょっとゆっくり病院に甘えて
入院してようかなって思ってたけど(笑)
やっぱり良くないわー
そんなこんなで
今執刀医の先生が来てくれた。
退院のGOサインが出た。
この若き一人の外科医が
今の僕にとっては
命の恩人であり、
これからの方向性を作ってくれた。
僕はベッドから立ち上がり、
先生に深々と頭を下げた。
「ありがとうございました!」
先生は少し小声で、笑いながら
お酒、ほどほどなら良いですよーだって
最後までカッコいい男だった。
今日は晴れるといいな