【世界は深刻な墓不足】

 

世界各国を見回しても、ほとんどの国家、ほとんどの民族で、故人を弔う文化があります。亡くなった人をそのまま放置しておく文化はありません。故人を如何にして弔うかは、人類にとってとても重要な課題であることがわかります。世界にはいくつもの宗教がありますが、宗教には、いくつかの系統があって、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの中東で誕生した宗教では、死者が審判によって復活すると考えられているため、「そのまま土葬する」のが正しいという倫理観のうえで弔ってきました。そして、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、シク教など、インドで誕生した宗教では、魂は輪廻転生するものなので、肉体は単なる器にすぎないという倫理観のもとで「火葬して散骨する」ということが行われてきました。国家は、民衆の意識を束ねて管理するために、例外なく宗教を上手に活用しながら国家を形成してきました。

ところが、今、世界の人口が爆発的に増えています。国連によると、1800年に世界人口はおよそ9億人。1900年には16億5000人となり、2000年にには61.4億人となり、2020年には78.2億人に膨れ上がりました。人口爆発の要因は、技術の革新によって作物の生産能力が上がったことや、医療の発達により、死亡率が低下したこと、発展途上国の出生率が高いことです。人口増加が見られる途上国には貧しい家庭が多く、労働力を確保するために、子どもを増やすことが必要になるため、経済的貧困と人口増加にはつながりがあります。特に、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ共和国、エチオピア、エジプト、フィリピン、タンザニアなどの国では2050年までに大幅に人口が増加すると見られています。国連によると、世界の総人口は2050年には約97億人、2100年には約109億人にまで増えるそうです。

そして今、亡くなった人を埋める「土地」がないという問題に世界各国が直面しています。国によっては、地価の価格が上昇し、「墓は本当に必要なのだろうか?」という疑問が世界中で渦巻いているのも事実です。「もし墓を購入したら、生きている自分たちの経済状況が厳しくなって今までの生活ができなくなる」「ただ単に今までの伝統的な儀礼を継承すればいいのか?」「このタイミングで今までの価値観を見直すべきではないのか?」・・・そうして、多くの国で葬儀のかたちや墓地の運営方法が大きく変化しています。古くからある墓地を撤去して、生きている人間のために土地を造成している国もあります。

シンガポールでは、先祖代々のお墓を政府が強制撤去し、遺灰が納められた骨壺を安置する納骨堂を建設しています。同国では墓地を利用できるのは15年と決まっており、その期間が過ぎると埋葬されていた遺体は火葬され、空いた土地には別の死者が埋葬されます。ノルウェーでは、わずか20年で次の利用者を入れなければならず、32階建ての墓地ビルも建設されました。遺体が早急に土に返るように、地上から棺に向かって石灰等を注入する業者があったり、遺体をそのまま堆肥にするような「堆肥葬」まで研究されています。人口密集地域に、墓地が何十年何百年とその使用用途を変えることができないまま、場所を占拠することは、都市開発を妨げ、国としての発展を阻害する要因ともなってしまうからです。

実は日本で火葬が早い段階から広がっていた原因としてこうした都市の土地問題があります。日本の大きな平野は関東と関西に集中しています。そのため江戸時代の段階ですでにその地域に非常に多くの人口が集中していました。そのような観点から、日本政府は火葬を推進してきました。土葬による問題点は 遺体が分解や処理されるまでに長い時間が必要になることです。その遺体が処分されるまで、周辺には悪影響を及ぼし、土壌汚染や悪臭問題だけでなく、さらに病原菌や最近が発生し、疾病の蔓延を助長させてきました。遺体を埋葬するうえで周辺に及ぼす影響は非常に大きいものです。特に、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教的に「土葬」が望まれている国においても「火葬」が増えていることは、何らかの政府の方針によって「火葬」が推進されていることが多いようです。

世界的な流れとして先進国は確実に「火葬して散骨する」方向に向かっています。グローバル化が進む世界において、近い将来には、「火葬して散骨する」のが一般的になるでしょう。今大きく世界が変わろうとしています。まさに明治維新のときのように、今、世界の常識が大きく変わる転換期であることを知っておくべきなのでしょう。

 

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