【中東発祥の宗教は土葬が基本】

 

中東で発生した宗教のうち代表的な宗教は、一神教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教ですが、これらの宗教では土葬でなければならないという決まりがあります。このうち最も早く発生したユダヤ教では、イスラエル民族を絶対的に拘束する律法(宗教法)に遺体は土葬することが定められています。ユダヤ教の聖書のうち最も権威あるモーセ五書の一つの『創世記』は、主の言葉として「あなたはついに土に帰る。あなたは土から取られたのだから。あなたは塵だから、塵に帰る」と述べた記述があります。ユダヤ教では、主(神)がみずから行われた葬法は絶対に守るべき律法であるとして今日に至るまで火葬はタブー。絶対に土葬でなければならないと強いこだわりをもっています。

キリスト教においても原則は土葬です。キリスト教の教義では、この世の終わりにイエス・キリストが再臨して、すべての死者は復活してよみがえり、天国に行くか地獄に行くかの最後の審判を受けるとされています。その時に肉体が焼かれて無くなってしまっていたら、復活して蘇ることができなくなってしまいます。つまり、本来の教義に反することになってしまうため、あくまでも土葬が基本です。

ヨーロッパの中世に行われた魔女狩りや異端審判で被疑者が火あぶりの刑に処せられたのは、単なる処刑を超えて、未来における復活さえも許さないという宗教的な懲罰の意味合いをも含んでいたのです。

キリスト教は2000年の歴史を経るなかで、西方教会(カトリック教会)と東方教会(ギリシャ正教会)に分裂し、さらに西方では宗教革命を経て新教(プロテスタント)が生まれました。火葬に対する考え方はこれらの三つの流れでかなり異なるものになっています。

もっとも保守的な東方教会に属するギリシャ、ロシア、ウクライナ、アルメニアなどの各地の正教会は現代でも土葬を守り、火葬をする信者は破門する、教会での葬儀を拒否するなどしています。ロシア正教では東京・神田のニコライ堂で知られる日本正教会東京復活大聖堂の歴代主教は死後、谷中の墓地に土葬されています。

カトリック教会でも火葬禁止の原則は長らく守られてきました。時代の流れに逆らえず、火葬が教義に反しないとしてローマ法王庁がやっと公認に踏み切ったのは、1963年のことです。一方、カトリックに批判的で宗教革命を経て誕生したプロテスタントは、比較的早くから火葬を受容してきました。

ムハンマドが7世紀に始めたイスラム教の聖典『クルーアン(コーラン)』には、信徒の埋葬に関して「やがて彼を死なせて墓地に埋め、それからお望みのときに彼を甦らせる」という記載があります。そして、宗教法の定めとしての土葬に関する規定はイスラム教でもっとも厳しいもので、死後24時間以内に埋葬しなければならないなどの定めまであります。今もなお、イスラム教徒は絶対に土葬でなければならないと強いこだわりを持っていて、現在、日本在住のイスラム教徒たちは土葬ができる墓地が日本に少ないことを問題にして、政府に働きかけをしています。少しずつ、日本においても土葬が認められる墓地が増え始めたところです。

※参考引用:NPO法人 葬送の自由をすすめる会
https://www.shizensou.net/essay/ronkou/doso-to-kaso.html

 

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