3次振動って、聞いて判りますか?

判る人は、エンジン設計に、かかわった事のある人ではないでしょうか。

1次振動は、ピストンの上下に伴う振動で、クランクシャフトの、バランスウエイトで、解消させますが、気筒数が、増えるとバランスさせやすいので、気筒数が、多いほど、ウエイトは、小さくなります。

2次振動は、4気筒、V8など、クランクピンが、180度のものに限って起きるウエイトのアンバランスからくるエンジンを、横に揺さぶる振動です。

バランスシャフトとか、三菱特許の、サイレントシャフトなどで、打ち消すか、クランクのバランス率を上げると少なくなりますが、レスポンスが、落ちます。

ここまでは絵に書いてみると理解できます。

問題は、3次振動です。


20年以上前、M-TEU 直6 2000ccターボのお客様から異音のクレーム。

5000rpmを少し超えたとこで必ず異音がするとのこと。

確かに、バルブサージングのような音が、出る。

毎回、決まった回転数で出る。

5250rpmあたりで。超えてしまえば消えてしまう。

異音修理は、再現性に、掛かってます。

再現させる事ができれば、たいてい原因が、わかります。

ところが、簡単に再現するのに、原因が、わからない。

エンジンそのものはいたって調子よく、音だけが気になります。

お客様と、打ち合わせの上、とにかく原因追及の為、ばらしてみることに。

お客様も、バラしてみればきっと、悪いところが見つかるだろうと思っていました。


しかし、ばらしてみても、悪い部品が、見当たらない。

ばらばらのエンジンを前に、お客様腕組状態。

ばらした私も放心状態。

どうすればよいやら、解決の目処の立たぬまま、放置するわけにも行かず。

可動部品のバランス取りをして、組み付けました。

当然のごとく、異音は、消えることは、ありませんでした。

思いつく事は、すべて、やって、それでも消えない事に、お客様も、納得いただきましたが、自分でも納得いかない作業でした。


10年の後、意外なところに答えが、転がっていました。

”究極のエンジンを、求めて” 兼坂 弘

作業の後、転勤を繰り返し、あの時のお客様が、あの後どうなったかは、知りません。

10年の間、記憶の片隅に、納得の行かない結果が、引っかかっていたんですね。

原因は、クランクシャフトのねじれ振動である ”3次振動”でした。

長大なクランクシャフトを持つ、直6及びV12は、ねじれ振動(回転ムラとでも言うのでしょうか?)が、5250rpmに、共振点を、持ちます。

この事を、読んだ時、目からうろこが落ちる思いでした。

この、3次振動を打ち消す為に、クランクプーリーに、ダンパーゴムを組み込んでおります。

多分、ダンパーゴムが、劣化したせいで、この振動が、出てしまったものと、思われます。

やっぱり、音のトラブルは難しいですね。