※オリジナルの艦擬人化設定です。



たつなみが東京湾の底に沈んで一か月。
漸く「彼女」はヘドロの底からその身を引き揚げられた。
老朽艦とはいえスクラップにしてしまうには惜しいと、なんとか復旧作業に誰もが精を出す艦内を深町は歩いていた。
きょろきょろと辺りを見回すその視線は修復具合をチェックしているというよりは何かを探しているといった風情で、彼を探していた副長の速水はその背に声を掛けた。
「艦長、田所司令が及びですよ…ってなにしてんですか」
「いや…貴子のヤツ、出てこねえと思ってな」
ヘドロも取り除き、破損もだいぶ修復されつつある。そろそろ姿を見せてもいい頃だと思うのだが、しかしこうして深町が艦内にいても彼女は全くその姿を見せようとはしなかった。
気配は感じられるのでいるにはいるのだろうが…。
すると速水は一人得心がいったように手を形の良い顎に添わせた。
「拗ねてるんじゃないです?」
「拗ねてるゥ?何でだよ」
「だってほら、ナミさんがいないから…」
「んなこと言ったって仕方ねえだろ!オイコラ貴子!」
ごぉん!と壁面を蹴る深町に速水が慌てた声を出すが言われた当人は全く聞いちゃいない。
「ちょっと艦長!直したばかりのとこ壊さないでくださいよ?!」
「文句があるならやまなみ沈めた海江田に言えっつーんだよ!聞いてんだろ!」
すると深町が蹴飛ばした箇所より少し上の壁面から青灰色の肌を持つ女がにゅるりと現われた。
「あっ、貴子ちゃん!」
その姿こそ見えないが、なんとなく光の靄のようなものとしてならその存在を感知できる速水は一か月の邂逅に喜色の声を上げた。
「よう、貴子。死に損なったな」




続く。…かもしれない(爆)
ケータイからはさすがに疲れた(笑)