王子にとってのザ・スワンとザ・ストレンジャーは自己愛と自己理想像の具現じゃないかなあと。
母親に愛されず虚偽に満ちた世界で己を愛して守って欲しいという想いが絶望の淵に立った王子の前にザ・スワンという偶像となって現れ、ザ・スワンと心を通わせ、愛されることによって生きる気力を取り戻した王子。
しかしこの時からすでに王子の精神の崩壊は始まっていたんだと思います。
そしてその崩壊が表立って現れるきっかけとなったのが魅力的で男らしいワイルドなザ・ストレンジャー。
王子の母親である女王すら惑わせるその姿はまさに王子がこうありたいと願っていた姿そのものに見えます。
そして王子の精神はもうぼろぼろで多数の白鳥からの攻撃という形で死へと向かいます。
けれどそこに現れたザ・スワン。
それは王子の最後のあがきというか、自己防衛本能が見せた幻だったのかもしれません。
しかし王子を懸命に守ろうと戦い、そして同胞であるはずの白鳥たちに殺されてしまうザ・スワンの姿にきっと王子は救われたのでしょう。ザ・スワンの死に本当に涙を流している王子が印象的です。
そして王子もまた後を追うように息絶える。
しかし絶望の中のたった一つの光。
ラストのザ・スワンに抱かれた幼い王子の安らかな表情がそれを物語っています。