いつも待ち合わせは青春台の駅なのだけれど、今日は乾さんがコッチに来てくれている。
というのも、青学の今日の部活は午前だけで午後は完全フリーらしく、夕方まで部活のある俺をあの人がワザワザ迎えに来てくれているのだ。
さっき、乾さんからメールが入っていた。
氷帝の近くの某公園にいるらしい乾さんの元へ向かうべく俺は駆け出した。
外は雨だったけれど、そんなの気にならないくらい浮かれているのが分かる。
だって、一ヶ月ぶりなのだ。
ただでさえ俺たちは部活で会える日が少ないのに、今月は練習試合やらで全く会えなかった。
メールや電話は小まめにしていたけれど、やはり実際に会うのとでは全然違ってくる。
あ。
公園に入ってすぐ見つけた。
俺とほぼ同じ身長の、けれど俺より格段に細い肢体。
乾さんだ。
乾さん、と呼ぼうとして、けれど声は出なかった。
乾さんは雨に濡れない程度に傘を傾け、ぼんやりと上を見上げていた。
その視線の先には、人工的に植えられた緑樹がその葉を濡らしている。
あと少しで乾さんの目の前に、というところで立ち止まった俺に乾さんが気付いてこちらを見た。
「やあ、長太郎君」
微かに笑うそれはいつもと同じだ。
けれど。
「何を、見てたんですか…?」
雨の中、そこだけカラカラに渇いた視線で、何を見ていたのだろう。
「…深い意味は無いよ。ただ、今日は雨が降っているから、いつもと違って見えるかと思ったんだ」
乾さんは時折そうやって空虚な目でぼんやりしていることがある。
まるで世界に絶望しているようだと思った。けれどそれを口にした俺に、乾さんは苦笑していた。
「そんな高尚なものじゃないさ。ただ、ちょっと飽きちゃっただけ」
でも、長太郎君と一緒にいる時は、楽しいよ。
そう言って笑ったその笑顔がとても柔らかくて。
慈愛すら滲んでいるようで。
「行こう」
俺はその哀しいまでに優しい微笑みに、ただついていく事しか出来なかった。
***
とりいぬってむずかしいね…!(全くとりいぬになってないってどういうコトですか)