立海からの帰り道、隣を歩いていた真田が突然溜息を吐いた。
「どうしたの?」
「ウチに堂々と偵察に来るのは許そう。しかし頼むからあんな無防備に寝るな」
「あー日差しが気持ちよかったからつい」
あはは、と乾は軽やかに笑う。
今日、乾は立海の偵察に来ていた。
部活中こそしっかりデータを取っていたのだが、部活が終了して片づけを見ている間にうつらうつらとしてしまい、気付いたら何故か目の前に仁王が居た、という事態になっていた。
さっさとその場を立ち去る仁王と足音荒く近づいてくる幼馴染とその後輩にきょとんとしれいれば、「お前は警戒心がなさ過ぎる!」と怒られた。
切原も仁王に気をつけろとか言っていた気がするが、よく分からない。
「仁王が俺に何をするって言うんだろうねえ」
あ、データ?と的外れな事(しかし本人は至って本気だ)を言っていると、真田は再度深い溜息を吐いた。
「お前は全く、危なっかしくて見ておれん」
すると乾はきょとんとして真田を見つめ、小首を傾げた。
「じゃあ、もう真田は俺の事、見てくれないの?」
「い、いや、そういう意味ではなくてだなっ」
少しだけ哀しそうなその声音に、真田は慌てて取り繕う。
「じゃあどういう意味?」
小首を傾げて覗き込んでくるその愛らしい仕草を直視できず、真田は視線を彷徨わせながらかちこちと告げた。
「だから、つまりだな、放っておくと危なっかしいのだからして、乾は俺の傍にいろ、ということだ」
すると乾はそんな真田をじっと見つめた後、にこりと笑って身を起こした。
「そういう意味なら、大歓迎だよ」
***
実はにおいぬの続きだったりする。参謀は全力で二人の仲を認めていません。乾は自分のモンだと信じております。仲を裂いて奪い取る気満々です。