オウム死刑囚の死刑執行から1年が経った。マスコミは臨時ニュースを流し、死刑囚の生活や死刑執行の様子も取り上げられた。不謹慎かもしれないが、これをきっかけに路地裏は死刑制度に関心を持った。

死刑をテーマにした映画がある。西島秀俊が死刑囚、小林薫が刑務官を演じた休暇という映画だ。刑務官である小林薫が結婚する際に、休暇を取って新婚旅行に行きたいと思った。死刑執行に立ち会うと、刑務官は1週間の休暇がもらえる。新しい家族のために彼は西島秀俊演じる死刑囚の死刑執行に立ち会うことを申し出たのだ。

この映画は死刑制度の是非についてのいずれのスタンスをも取っていない。死刑囚の日常と、突然訪れる最期の日における刑務官と覚悟を決めた死刑囚を淡々と描いているように見えた。



死刑囚はいつか死刑が執行される。いつかがわからない“その日“を待つ心中はどんな心境なのだろう。この映画を昨年見たとき自分ならどうだろうかと様々な思いが去来した。

人はいつか死ぬが、もし自分が不治の病で床に伏しているのならばどう感じるかと考えてみた。死の恐怖はないのか。そんなこと考えずに安らかな気持ちで床に伏しながらお迎えを待てれば幸せかもしれない。しかし、生きているという自分の意識が無くなることについて考えると路地裏はやはり怖いと思う。

路地裏の父は十余年前に他界したが、死ぬ間際の父は何を考えていたのだろうか。最期まで看病していた母が知っているかもしれないが、やはり怖くて聞けない。


人生100年と言われるが、路地裏は未だ人生80年と思っている。人生の折り返し地点を目前に、昨年の夏は死刑執行のニュースを機に、死とは何かをよく考えずにはいられなくなった。