国内外から4200人が参列し、テレビやインターネットの中継で多くの人達が見守る中、安倍晋三元首相の国葬が無事終了しました。
人の死の尊厳や遺族の心情を蔑ろにする日本国内の混乱を、あきれかえって見ている国際社会も注目する国葬でしたが、関係者の心情のこもったご努力により、派手な演出も華美な装飾もありませんでしたが、多大な功績のあった故人を日本の国として真心込めて送ることができて本当に良かったと心の底から思います。
「歴史は在任の長さよりも、達成した事績によってあなたを記憶する」と称えた岸田首相の弔辞、暗殺された伊藤博文を偲んだ山県有朋の歌“かたりあひて 尽くしし人は先立ちぬ 今より後の世をいかにせむ”を「私自身の思い」と二度読み上げた7年以上にわたって安倍元首相を官房長官として支えてきた友人代表の菅義偉前首相の弔辞、式場では自然に感動した人達から拍手がおこっていました。
高齢でからだの不自由な私は、献花をしに上京することもできず、テレビの前で見送ることしかできませんでしたが、お二方の心の底からの故人への思いが詰まった弔辞をお聴きし、堪えきれずに号泣してしまいました。
また葬儀が行われた武道館近くの九段坂公園に設けられた献花場には、全国から集まった2万6千人余りの方々が4キロにも及ぶ行列に並んで、何時間も待ちながら献花されている様子も映し出されていました。老若男女を問わず礼節を重んじる多くの日本人の姿に涙が止まりませんでした。
残念ながら、相変わらず国葬反対を主張する集会やデモが、会場周辺や国会正門前などで行われていました。いろいろな意見はあるでしょうが、せめて葬儀の当日だけは心静かに故人を見送るのが、最低限の礼節だったのではないでしょうか。
それが日本人に脈々と受け継がれてきた、日本が誇る思いやり精神や正しい礼儀作法だったのではないでしょうか。
今後安倍元首相亡きあとも国際社会で存在感を示していかなければならない日本の、国葬当日の国内の見苦しい現状を、多くの国々から信頼され、尊敬されてきた安倍元首相を惜しみ、哀悼の意を表すために葬儀に参列してくださった各国の首脳の皆さんの眼にはどのように映ったでしょうか。
菅前首相の弔辞の山県有朋の歌の一節、「今より後の世をいかにせむ」ではないですが、安倍元首相が築きあげた日本の国際社会での位置づけや信頼感を、この先も不動のものにしていけるのか不安で一杯です。