Esperance

テーマ:
地下への階段を降りると
扉一枚の入り口が現れる。
ろうそくの炎が揺らめく薄暗い店内の
カウンターに座ると、マスターが迎えてくれる。

「いらっしゃいませ、何に致しましょう」
いつものやつをください。
「ありがとうございます」

大きく丸い氷をひとつ、グラスへ転がし
ウィスキーが注がれる。

「お待たせいたしました。」

命の水と呼ばれるそのウィスキーは
すっきりとほろ苦く、ピリッとした味わいがとても好きだった。

程なくしてマスターが話しかける
「仕事はいかがですか?」
「読書はしますか?」
「私の子どもが、姪御さんとまったく同じ誕生日なのは驚きました。」

他愛もない話がとても心地よい

押し付けじゃない、何気ない会話
タイミング・受け答え
全てが客を楽しませる最高の対応をしてくれる。


2杯目を頂いていた頃に
1人、また1人 と客が増えてくる
皆地元の人間だ。
顔も名前も知らない人なのに
同じ場所に住んでいる というだけで
不思議と話が盛り上がる。
年齢も性別もバラバラだ
カレーに凝っているとか、甘いものが好きとか
この地域の小学校は安心だとか。

気が付くと時間はあっという間に過ぎている。
最後に、抽象的な注文でカクテルを頼む。
「甘くさっぱりとしていて重くない、パッションフルーツのカクテルです。」

酸味と甘みとほのかなアルコールがベストマッチして
ついもう一杯と言ってしまいそうだった。

誘惑を殺し、会計を済ませて帰宅する。
冷たい風が心地よい
一期一会
そんな言葉を思い出しながら
5分も掛からず家につく。



なんだか凄く気分がいい
そのままベットに突っ伏して
気が付いたら朝になっていた。
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