「新入社員の皆様のご活躍、

大いに期待しております。」

 

 

【社長 新入社員 挨拶】

でネットで検索すれば、

大方出てくるであろう挨拶。

 

 

そんな挨拶をして、

社長は舞台袖に消えた。

 

 

2012度入社式。

 

 

大量採用の結果、

同期の人数は56人。

 

 

去年ほどでもないが、

それなりの採用数だったらしい。

 

 

既にインターンシップで

先輩のSNSアカウントを全て交換した!

 

 

と自慢する同期が呟いていた。

 

 

「お疲れーぃ!あの、なんて名前?」

 

 

「田中です。よろしく。」

 

 

「俺、横山。とりあえず飲もうや!

向こうで皆で集まっとるでな!」

 

 

想像していたとおり。

 

 

同期と交流を図りたい系の、

学生っ気の抜けない

イケメンに話しかけられた。

 

 

どうせ配属も離れ離れになるし、

話かけられたら行こう、

程度でしかない。

 

 

「おれ静岡!」

 

 

「隣やん!おれ名古屋!!」

 

 

「おれも隣だよ!。山口w」

 

 

「近くないわ!!w」

 

 

「田中は?」

 

 

「埼玉です。多分関東オレだけかな。」

 

 

「ええやん!本州は全部繋がっとるw」

 

 

「。。おお!w」

 

 

横山は陽気な岐阜県民だ。

何かと溶け込むのが上手いし、

適度に笑わせてくれる。

 

 

同期は各都道府県から選抜されたかのように

出身が見事にバラバラだった。

その分空気感も全然違うが、

似たりよったりの顔ぶれだ。

 

 

「皆さ、なんでこの会社に入ったん?」

 

 

「たまたま受かったんだよねー。」

 

 

「おれ面接官とめっちゃ打ち解けたからかもw」

 

 

「面接の練習しまくったからやなw」

 

 

少し安心した自分が居る。

なんとなく電車が好き

だと言う理由だけで、

この施工管理会社に入社した。

 

 

明確に会社への志望理由を答える奴は

同じ会社に居るはずがないだろう。

 

 

ましてや大学行ったら、

とりあえず就職。

 

 

の雰囲気に押され、

流されて就活するのがベターだから。

 

 

でも、

そんな自分でも尊敬できる人を

1人くらいは見つけたかった。

 

 

比較的閉鎖的なサークルや部活動が多い出身大学のせいにして、

人脈を伸ばしたり、

何か挑戦することもなく、

貴重な学生時代を終えたからだ。

 

 

会社に貢献して出世したいとか、

同期で親友作って休日を謳歌するとか、

そんなの一切考えてない。

 

 

ここで得た経験を活かして、

数年後には辞める気でいた。

 

 

「長い付き合いになるけど、

この出会いに〜〜〜???

。。。カンパーイ!!!」

 

 

テーブルで1番ガタイの良い体育会系が唸った。

 

 

フレッシュな香りを漂わせるシャンパングラスを伸ばす手が、

一瞬出遅れた。