貿易収支が31年ぶりに赤字で赤字額は2.5兆円との報道から、
将来の貿易収支はどうか経常収支がどうなるか?
国債への影響はどうか?が話題になっているので、
経常収支についてまとめてみようとみようと思う。
まずは経常収支の定義と推移。
経常収支は、他国との取引のうち以下の合計。
①貿易収支(輸出と輸入のネット)
②サービス収支(海外旅行や金融等に伴うサービス取引)
③所得収支(海外投資による利配収入等)
④経常移転収支(他国への無償援助等)
ここで、②と④は小さいのであまり議論にならない。
③の所得収支について補足すると、中身は
①米国債等の有価証券投資からの証券投資収支(大部分を閉める)
②海外企業等への直接投資からの直接投資収支
(割合は低いが、メーカーの海外シフトで近年伸びている)
となっている。
所得収支は貿易収支に比べ安定しておりここ10年は+10兆円前後で推移している。
日本は、長らく貿易黒字+所得収支黒字で経常黒字であることが常態化している。
経常黒字ということは、
単純に海外への支払いより受取金額(外貨)の方が多いことであり、
受け取った外貨はそのままでは無く、円転され国内に還流されると考えられる。
よって、経常黒字により、
①為替に円高圧力がかかる
②国内に資金流入がおこることから、国内での消費、投資、預貯金への活用が期待される
と考えられる。
①については、プラザ合意以降の超長期の円高が、
貿易黒字(経常黒字)を背景に起こってきたと考えれば納得のいくところ。
(直近の円高にはソロスチャートによる説明の方が、個人的にはしっくりきている)
②については、経常赤字になる(日本国から海外への支払いが多い)よりは、
経常黒字の方が日本国債にとっては良さそうだということで納得している。
また経常赤字になって円安トレンドになるのであれば、
円資産の外貨シフトも予想されるので、
経常赤字国債にとってはあまり宜しく無い状況ではあるだろう。
経常収支が黒字ってのが重要なのは分かった。
で、今回貿易赤字になっちゃったけど、今後経常収支は赤字になっちゃうの?
というのが今回話題になっており、、、
記事などを読むとだいたいこんなところで意見は分かれている。
(経常赤字になる派)
電力コスト増・円高・生産拠点の海外シフト等で貿易赤字は定着・増大、
いずれ所得収支の黒字も乗り越え、数年で経常赤字に。
(経常黒字はしばらく続く派)
貿易赤字は、地震やタイ洪水による一過性のもの。
輸出の減少は輸入の減少にも繋がるので貿易赤字は一方的に増えない。
また所得収支が厚く安定しているのでそう簡単には経常赤字にはならない。
どっちもどっちで、
赤字になるかどうかは将来になってみないと分かりませんが、
少なくとも経常収支黒字幅は減少傾向になると思っておいた
方がよさそうです。
しかし、エレキメーカーもボロボロになってきたので、
不調が伝えられている車も、韓国勢等にテイクオーバーされたら
とんでも無い経常赤字になるって考えるのは単純すぎますでしょうか?
そして、家電量販店でサムスン、LGが一等地を占め、
街中で現代を多く見かけるようになったら
アメリカのように双子の赤字状態になるんじゃないでしょうか?
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