小林製薬の「紅麹(こうじ)」原料を含むサプリメントを巡り、日本腎臓学会は30日、横浜市で開かれた学会総会で、サプリ摂取後に腎障害を確認した患者206人の分析結果を発表した。腎機能を示す数値が完全に回復していない人が多く、入院をきっかけに全身衰弱して死亡した関連死とみられる事例もあった。調査では、腎臓の「尿細管」が傷ついて体に必要な成分が再吸収できなくなる「ファンコニー症候群」と診断された人が大半だった。110人に実施した腎生検では、尿細管間質性腎炎(47%)や尿細管壊死(えし、28%)がみられた。透析を導入したケースは7人で、2人は継続中。経過を追跡調査すると、タンパク尿についてはおおむね改善したが、腎臓のろ過機能を示す数値に改善がみられず、大半の患者に慢性腎臓病(CKD)が残っていた。結果を発表した学会副理事長の猪阪善隆・大阪大教授は「腎臓へのダメージが大きいと、なかなか回復しづらいと推察される」と話した。死亡例が報告されたのは90代女性。昨年12月に発熱や倦怠(けんたい)感の症状で受診し、ファンコニー症候群と診断され入院した。腎機能は改善したが、食事量が減り筋力が急速に低下したことで合併症を引き起こし、今年2月に死亡した。調査は3月27日〜4月30日に全国の会員医師らを対象にインターネットで実施。患者は50代〜60代が70%を占め、女性が67%。5月に最新の血液検査結果などを追跡調査した。小林製薬は当初、腎疾患と診断されたケースに絞って死亡疑い事例を5人と報告していたが、6月28日、幅広い疾患に拡大した結果、新たに76人の疑い事例があったと公表した。当初の5人のうち1人はサプリを摂取しておらず、関連がないことも公表した。〔共同〕