2025年国際博覧会(大阪関西万博)の運営主体、日本国際博覧会協会は27日、ウェブを中心に販売してきた入場券を、開幕半年前の10月13日から全国のコンビニエンスストアで発売すると正式発表した。購入のハードルを下げ、高齢者などの潜在需要を掘り起こすことを狙う。27日開いた定例理事会で決定した。石毛博行事務総長は「チケット販売をより確実なものにする」と述べた。海外パビリオンの建設遅れを巡り、日本側の追加負担が最大76億円に上る可能性があることも説明した。コンビニ券は購入時に来場日時を予約しないタイプ(ハイブリッド形式)と、来場日時を予約するタイプの2種類。セブン―イレブンジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手3社を中心に販売する見通し。従来必須だった「万博ID」発行を不要とし、ウェブに抵抗があった高齢者などが気軽に購入できるようにする。ハイブリッド形式は旅行会社などでも販売する。価格はウェブ販売と同水準とし、前売り期間中の1日券が大人6700円。開幕後は同7500円とした。いずれのタイプも当日ゲート前でQRコード付きのチケットに引き換える必要がある。購入後、万博IDを発行すれば来場日時の予約や変更を可能とし、スマホ上などでQRコードを表示し、入場できるようにする。来場日時を予約しないタイプは交通機関やゲート前が混み合う朝の時間帯や繁忙期の入場を制限する可能性がある。今後、関係者間で使用条件を詰める。ウェブでの日時予約を増やす狙いで、大阪府・市と連携し、万博IDの発行などを手助けする「サポート隊」を導入することも検討する。販売にかかるコストは約22億円を見込む。総販売目標2300万枚のうち1割弱の200万枚をコンビニ販売分とし、販売手数料10億円のほか、チケットの引き換え窓口や誘導要員の増加分などの費用として11億円超を計上した。入場券の売上収入969億円、運営費総額1160億円は変更しないとしている。一方、「煩雑さ」を指摘する声があった万博IDの認証方法も変更する。これまで生体認証やパスコードなど、画面ロック解除機能を設定済みの端末を求めていたが、8月以降、本人確認方法を簡素化し、電子メールでの2段階認証方式を追加する。事前の端末設定を不要とすることで利便性を高め、来場日時の予約だけでなく、パビリオンやイベントなどの観覧予約、今後発表されるサービスやコンテンツの体験に、万博IDを活用してもらうことを狙う。この日の理事会では、海外パビリオンの建設遅れを巡り、日本側が50億〜76億円を追加負担する可能性があることも説明した。参加国が自前で建設する「タイプA」から、日本側が建設を代行する簡易型「タイプX」への移行が想定を下回っており、建設費の未回収分に加え休憩所などへの転用費用を見込む。建設費圧縮への取り組みを進めることで、最大2350億円とする会場建設費は据え置く。完成すれば世界最大級の木造建築物となる「大屋根(リング)」の閉幕後の再利用については、東日本大震災復興を象徴する駅周辺施設への部材活用や自転車道などへの構造材の活用など、約6000立方メートルが見込まれると報告した。13の民間事業者や自治体などにヒアリングした。大屋根に使用する木材量は約2万7000立方メートルで、全体の4分の1程度になるという。(渡部泰成、村田篤史、掛川悠矢)