沖縄県は23日、太平洋戦争末期の沖縄戦で旧日本軍の組織的戦闘が終結したとされる日から79年の「慰霊の日」を迎える。激戦地となった沖縄本島南部の糸満市では22日、平和を願う沖縄全戦没者追悼式の前夜祭を開催。日米合わせて20万人以上が犠牲になった。参列者らは悲劇を二度と繰り返さないとの思いを新たにした。米軍は1945年3月に沖縄慶良間諸島、4月には本島へ上陸した。南西諸島の防衛を担う日本軍第32軍は5月下旬、拠点の首里(那覇市)から南部へ撤退を決定。南部にいた多くの住民が巻き込まれた。前夜祭は糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で開催。息子と訪れた南風原(はえばる)町に住む20代の女性は22日、沖縄戦の戦没者名を刻んだ石碑「平和の礎(いしじ)」の前で手を合わせ「平和がずっと続くように」と祈った。親戚が沖縄戦で犠牲になったといい、毎年慰霊の日の前後に家族で最後の激戦地だった公園を訪れている。女性は「親から言われてきたように戦争のない日常に感謝し、平和な世を大切にしてほしいと息子には伝えたい」と話した。沖縄市に住む公務員、古波津正さん(54)は初めて小6の娘を連れて平和祈念公園を訪れた。8年前に他界した父は沖縄戦に防衛隊として動員された。この日は礎で手を合わせた後、娘に親戚が空襲や艦砲射撃など激しい地上戦が展開された沖縄戦を経験していたと伝えるつもりだ。古波津さんは「戦争体験者が減少する中、親世代から聞いてきた自分たちが伝えていかなければ」と話す。公園では23日午前11時50分から追悼式を開く。岸田文雄首相や沖縄県の玉城デニー知事らが出席する予定。