【ロンドン=大西康平】イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザ南部の中心都市ハンユニスに地上侵攻したと明らかにした。イスラム組織ハマスの幹部殺害を狙っているとみられる。ガザ南部には北部からすでに多くの民間人が避難しており、犠牲がいっそう増える見通しが強まっている。ロイター通信などによると、イスラエル軍の幹部が5日「我々はハンユニスの中心部にいる」と明かし、数百の爆弾を投下するなど「地上作戦開始以来もっとも激しい日を迎えている」との認識を示した。イスラエル軍は4日にもハンユニスへの空爆を強化しており、5日にハンユニスの病院へ少なくとも43体の遺体が搬送されたと報じられた。イスラエル軍が戦闘休止前に掌握したガザ北部から南部へは多くの人が避難しているが、その退避場所がさらに狭まっている。中東の衛星放送局アルジャズィーラは5日、数千人の民間人がハンユニスからエジプトと国境を接する最南部のラファヘ退避していると報じた。イスラエル軍はハンユニスの地上侵攻前に住民に対して「今後数時間以内に集中攻撃を開始する」と書かれたビラをまいたという。戦闘地域は全土に広がっている。米シンクタンクの戦争研究所は4日、イスラエル軍がガザ地区最大の難民キャンプがあるとされる北部ジャバリアなどのハマスを包囲する掃討作戦を継続していると発表した。5日にはイスラエルの中部アシュケロンでガザからのロケット弾がビルに直撃したとイスラエルメディアが報じたほか、イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの交戦が両国の国境で続いた。