【NQNニューヨーク=横内理恵】8日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸し、前日比95銭円高ドル安の1ドル=147円05〜15銭で取引を終えた。同日発表の2月の米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を下回った。賃金インフレ鈍化が意識されたことが円買いドル売りを誘った。一時は146円48銭と2月上旬以来の円高ドル安水準を付けた。雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比27万5000人増と、ダウジョーンズ通信がまとめた市場予想(19万8000人増)を上回った。一方、1月分は35万3000人増から22万9000人増へと大幅に下方修正された。失業率は3.7%から3.9%に上昇し、平均時給の前月比の伸び率は0.1%と市場予想(0.2%)を下回った。米労働市場の過熱感が薄れつつあり、米連邦準備理事会(FRB)が年前半の利下げに動きやすくなったと受け止められた。FRBのパウエル議長は7日の議会証言でインフレ沈静化に確信が持てるようになるまで「そう遠くない」と述べていた。米長期金利は一時、4.03%と約1カ月ぶりの水準に低下(債券価格は上昇)した。日銀が3月の金融政策決定会合でマイナス金利解除など政策の正常化に動くとの見方が強まっていることも円を支えた。引けにかけては伸び悩んだ。米長期金利が低下幅を縮小して終えた。来週発表の2月の米消費者物価指数(CPI)などを見極めたい参加者が多かった。週末で円買いの持ち高を傾ける動きが鈍った。ニューヨーク市場での円の安値は147円53銭だった。円は対ユーロで続伸し、前日比1円20銭の円高ユーロ安の1ユーロ=160円80〜90銭で取引を終えた。ユーロは対ドルで横ばいを挟んで6営業日ぶりに小反落し、前日比0.0010ドルのユーロ安ドル高の1ユーロ=1.0935〜45ドルで取引を終えた。米雇用統計を受けてユーロ買いドル売りが優勢になり、一時は1.0980ドルと1月中旬以来のユーロ高ドル安水準を付けた。欧州中央銀行(ECB)の早期利下げ観測が意識され、買い一巡後は伸び悩み、下げて終えた。ユーロの安値は1.0918ドルだった。