経済産業省は2日、国内で最先端半導体の製造を目指すラピダスに2024年度で最大5900億円を支援すると発表した。ラピダスへの支援額は累計最大9200億円となる。経済安全保障上の観点から重要な最先端技術の確立を、政府が強力に後押しする。斎藤健経産相は同日閣議後の記者会見で「生成AI(人工知能)や自動運転など日本産業全体の競争力の鍵を握る。経産省としても成功に向けて全力で取り組む」と話した。トヨタ自動車NTTなどが出資するラピダスは、20年代後半に2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの線幅の次世代半導体の量産を計画している。足元、国内で製造できる半導体は40ナノ台にとどまっている。経産省はこれまでに半導体の回路をつくるための「前工程」に最大3300億円の補助を表明していた。新たに支援する最大5900億円のうち5365億円が前工程で、535億円は組み立てなどの「後工程」に初めて支援する。先端半導体の支援向けに積み立てた「ポスト5G基金」から拠出した。23年度補正予算が原資となっている。5365億円はラピダスの北海道千歳工場の建設費や極端紫外線(EUV)露光装置などの導入費、連携している米IBMへの技術者派遣などに活用する。こうした支援で半導体の試作品の開発にめどをつける。量産品の製造にはさらなる補助が必要とみられる。535億円は異なる複数の半導体を組み合わせたチップレットといった最先端の組み立て技術開発を支援する。半導体は回路を微細にすることで性能を高めてきたが、微細化の限界が近づいている。微細化に代わる手法として「後工程」の研究合戦が進む。経産省はラピダスが後工程でも競争力を発揮できるように支援する。経産省はここ数年、国内の半導体拠点への補助を増やしている。累計で最大9200億円となるラピダスへの支援額は、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1第2工場を合わせたおよそ1兆2000億円に次ぐ規模となる。