国内の火山の観測や調査研究などの司令塔を担う「火山調査研究推進本部(火山本部)」が1日、文部科学省に設置された。火山に関する政策の立案や噴火対策に向けた観測計画づくり、測量による調査などの活動を一元的に担う。火山本部は4月上旬に最初の会合を開く。国内の活火山は気象庁、大学などが個別に観測や研究を実施している。これまでは調査活動の成果をまとめる同庁の諮問機関「火山噴火予知連絡会」があった。今後は政府直轄の火山本部が研究活動のほかルール、予算の調整などの全般を取りまとめる。文科省で1日、火山本部の新たな看板が披露された。本部長に就いた盛山正仁文科相は式典で「火山活動の状態などを科学的に評価し、国民へのわかりやすい周知や日ごろからの必要な備えにつなげていく」と語った。国内の災害に関する研究や連携体制を巡り、地震では1995年の阪神大震災を機に先行して強化が進んだ。火山本部のモデルでもある「地震調査研究推進本部(地震本部)」が発足している。一方、火山噴火は地震に比べて発生も少なく研究者も不足しがちで、人材面や関係機関の連携体制にも課題があった。2014年には長野、岐阜の両県にまたがる御嶽山の噴火で死傷者が出る災害が発生し、体制見直しの議論が本格的に始まった。23年に改正活火山法が成立し、火山本部の発足に向けた準備が進められてきた。日本には111の活火山があり、世界でも有数の火山大国とされている。火山も地震と同様に体制を強化し、国内の防災対策の向上につなげる。