在日米軍と陸上自衛隊が輸送機オスプレイの運用を今月から相次いで再開した。米軍は2023年11月に鹿児島県屋久島沖で乗組員8人全員が死亡する墜落事故をおこし、全機種の飛行を3カ月ほど停止していた。米軍は事故の原因を特定し、再発防止策をとったと主張して再開に踏み切った。ただ、その詳細な内容は公表していない。南西諸島の防衛にオスプレイが有効なのは理解できるものの、米軍と自衛隊は地元住民の不安を拭う努力を怠ってはならない。在日米軍はオスプレイを普天間基地(沖縄県)や横田基地(東京都)に30機ほど置き、陸自は14機を木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備している。昨年の事故は横田基地に配備されていた米軍の機体によるものだった。木原稔防衛相は事故の原因を「特定の部品の不具合」と説明し、米側からは「これまでにないレベルで詳細に報告を受けた」と話した。安全確保を最優先し、再発防止のための安全対策となる教育や整備に取り組むとして飛行再開に理解を求めた。不具合の具体的な中身は対外的に公表していない。米側で訴訟や処分の対応も含めた調査が続いており、報告書の公開まで米国内法の制限があるためだという。防衛省はこうした内容を在日米軍や陸自の基地がある地方自治体に伝えた。沖縄県などでは「説明が不十分」として、飛行再開に反発が大きい。事故原因などの中身が伏せられたままでは、こうした反応がでるのはもっともだろう。オスプレイは垂直に離着陸したり、水平に飛行したりできるのが特徴だ。政府は南西諸島の離島防衛での活用を想定する。陸自が配備先を木更津から佐賀空港(佐賀県)に順次移すのもその一環だ。地元住民の信頼は日米同盟の土台をなす。米軍は迅速な情報公開に努め、その不安の払拭に全力を尽くさなければならない。防衛省と自衛隊も米側への働きかけを強めてほしい。