自民党派閥の資金問題をめぐり衆院の政治倫理審査会が28、29両日にも開かれる。資金パーティー収入の還流や不正会計の広がりは政治への信頼を損なっている。政倫審の開催を第一歩として、裏金づくりの実態解明と再発防止に向けた議論を加速してほしい。安倍派と二階派の幹部5人が衆院政倫審に審査を申し出た。安倍派は座長だった塩谷立氏と事務総長経験者の松野博一、西村康稔、高木毅各氏、二階派の事務総長だった武田良太氏が出席予定だ。政倫審は「政治とカネ」などの疑惑が浮上した国会議員から弁明を聴取し、質疑や審査を行う。衆院での開催は2009年以来となる。参院も政倫審を初めて開く方向で調整し、世耕弘成氏が出席する考えを示している。派閥の裏金事件をめぐり東京地検特捜部は国会議員3人と安倍、岸田、二階3派の会計責任者らを立件した。一方で刑事告発を受けた安倍派の幹部7人らの立件は見送った。政倫審では組織的な資金還流が始まった経緯の解明とともに、派閥幹部らの政治的、道義的な責任が焦点となる。裏金問題での自民党執行部の対応はことごとく後手に回った。自民党側は今回の政倫審を「原則非公開」のルールに沿って実施したい意向だ。審査を非公開とする理由は見いだせず、内容は全て公開すべきである。野党側は政治資金収支報告書の不記載が見つかった衆院議員51人、参院議員32人(自民党離党者を含む)の出席を求めている。過去5年間で巨額の不記載があった二階俊博元幹事長や萩生田光一前政調会長をはじめ多くの議員が説明責任を果たすべきだ。疑惑が解消されない議員は、国政調査権に基づく参考人招致なども視野に入れる必要がある。「政治とカネ」の問題ばかりに今国会の時間や労力を費やすわけにはいかない。不正の再発防止に向けた法改正の議論を深めるためにも、まずは衆参の政倫審での真相究明と責任追及が重要となる。