僕は昔から小心者だ。
初めてのミーティングでは手のひらが汗でびっしょりになり、
部下に注意する時も言葉を何度も頭の中で rehears(リハーサル)してから話す。
リーダーという立場になった今でも、その性格は変わらない。
むしろ責任が重くなった分、余計に慎重になる。
正直、小心者は損をすると思っていた。
決断は遅くなるし、思い切った挑戦も得意ではない・・・。
でも、ある日上司にこう言われた。
「お前はミスをしにくいリーダーだ。事前に不安を全部つぶそうとするからな。誰かになろうとせず、自分にできるリーダーを目指せ。」
最初は皮肉とも取れる発言だと思い、悔しかった。
そんなリーダーはかっこよくない。
まだ若かった僕は素直に受け止められなった。
ただ、、、確かに、僕は何かを進める前に最悪のケースを想定し、対策を考える癖がある。
資料は三度見直すし、関係部署には必ず事前根回しをする。
その結果、大きなトラブルを未然に防げたことが何度もあった。
経験をある程度重ねた今、この言葉を思い出すと
リーダーという役職に決まりはなく、それぞれの特徴や個性を活かしたリーダーでもいいんだと、改めて言葉の意味を理解した。
小心者の強みは「慎重さ」と「観察力」だ。
周囲の空気の変化に敏感だから、部下の表情の曇りにもすぐ気づく。
些細な違和感を見逃さず、早めにフォローできる。
これは、押しの強いリーダーにはない武器だと思う。
もちろん、小心者にも課題はある。
必要以上に迷ってしまい、チャンスを逃すことだ。
だから僕は、自分なりのルールを作った。
「情報が7割そろったら動く」「迷ったら期限を決めて判断する」。
これで慎重さと行動力のバランスが少しずつ取れるようになった。
今では、小心者であることを隠さなくなった。
部下にも「僕は石橋を叩きすぎるタイプだから、君たちはスピードをくれ」と
素直に言う。
そうすると、チームの中で役割分担が生まれ、僕の弱みを仲間が補ってくれる。
自分の性格は一生付き合うもの。
小心者のままでいい。
その特性を理解し、磨き、足りない部分はチームで補えばいい。
臆病な心は、決して足かせではなく、
チームを守る大切な盾になれる——そう信じている。
今日もやったろ!!