さて、今回は「ゴジラ」をテーマに書いていきます。
アジア初のアカデミー賞VFX賞の受賞。70年の歴史を持つシリーズ。世界にファンを持つ怪獣王。
こうやって字面を並べれば、まさに日本が誇る「キャラクター」である。しかし、その作品自体を知っていると言われたら、どうだろうか。
シンゴジラだけなら。テレビで見たが何のシリーズかは分からない。シリーズ物は足を入れづらい。特撮は敷居が…などなど。これらが私が知人たちに聞いた「今のゴジラのイメージ」である。
そこで今回のブログを目標は、「ゴジラを知る」です。
すごくざっくりとゴジラとは何か?を書いていきます。
この日本の誇りを一人でも多くの日本人に知ってもらうのが目的です。
目次
ゴジラの歴史
多分この項目が一番長くなります。
まず皆さんに超ざっくりとゴジラの歴史を紹介します。
ゴジラ誕生
ゴジラは1954年に初めて世に出ました。
監督は本多猪四郎。音楽は伊福部昭。特撮監督(特技監督)は円谷英二。彼らはのちに多くの作品を生み出していく天才たちによって生まれました。
東宝の田中友幸プロデューサーのひらめきで生まれたこの作品は、瞬く間に大ヒット。海を超えて海外でも大ヒット。
当時世界の問題だった核競争に一石を投じる内容。重厚感あふれる音楽。核を擬人化(擬獣化?)した存在からあふれる威圧感。どれも70年前の作品と思えません。
こうしてゴジラというキャラの設定。恐怖を体現した楽曲。多くのプロットが生まれた事により、唯一無二の怪獣王の存在と、日本に長い間のを生み出していきました。
愛されキャラ「昭和時代」
ゴジラという存在はその後、怪獣映画ブームを牽引していきます。
世間がプロレスブームに沸く中、ゴジラでもやろうとなります。それが「キングコング対ゴジラ」です。この作品は瞬く間に大ヒット。当時の子供たちにとって、その強さは「憧れ」へとなっていきます。
世間がお笑いブームなら、ゴジラもシェーをします。世間が公害の問題で頭を抱えると、その公害がゴジラを襲う物語をやります。
とまあこんな感じに、昭和のゴジラは我々が思う以上にポピュラーでした。
子供たちのヒーローとしての存在が中でも強かったですね。作品にも顕著に現れます。
例:少年が「悪い怪獣だ!助けてよゴジラ!」と叫ぶと来てくれます。
ですが、そんな時代も終焉を迎えます。
洋画作品の勢いに負け、邦画が落ちてきた時代がありました。
ゴジラもその影響を受け、なおかつあからさまな子供向けが受けなくなりました。
昭和ゴジラは「メカゴジラ」という最高のライバル怪獣を最後に生み出し、そのシリーズを一旦閉じました。
復活のVSシリーズ
世間の波に負けて閉じたゴジラシリーズですが、それを諦めない男がいました。それが、初代のプロデューサーでありゴジラの生みの親「田中友幸」です。
そんな彼は、あまりにも強い思いでゴジラを再度よみがえらせました。
それが”ゴジラ(1984)”です。
この時の彼の言動は、まさに昭和からのゴジラを伝える生き証人でした。
こんなことはしない、こういうことをゴジラはする。
そんなゴジラルールを徹底して次世代へ植えつけます。
培ったゴジラのキャラクター性。新時代の特撮とそれを生み出す次世代の天才たち。かっこよさと懐かしさを兼ね備えた魅力的な怪獣たち。以前よりも重厚な物語。
それらが世間に受け、ゴジラは大復活を遂げます。
ちなみに、皆さんがイメージするゴジラは、この平成初期のゴジラの場合が多いです。
それくらいこのVSシリーズは、ゴジラのイメージを強固な物にしました。
このシリーズは「ゴジラVSデストロイア」を最後に、東宝の手で幕を閉じます。これは、昭和の時と違い、自分たちの手で最後を作るという終わり方でした。
ゴジラの死を描く美しくも儚い最後でこの作品は幕を閉じます。
50年近い歴史は、次の世代と海の向こうのハリウッドの力で受け継がれていく・・・・
はずでした。
終焉のミレニアムシリーズ
ハリウッド版のゴジラは大失敗しました。
ファンですら「あれはゴジラではない」という代物です。
(歩くだけのバカでかいイグアナってなんだよ(笑))
東宝はその大失敗を受け、急遽ゴジラシリーズを復活させました。
それがミレニアムシリーズです。
しかし、構想もないこのシリーズ。作品ごとの立ち位置も売り方もちぐはぐになります。
その最たる例が「ハム太郎との同時上映」です。
子供向けのライトな作品の後に、重厚で恐怖を強調する作品をやる。子供たちが号泣したなんて話もあるくらいです。
このあたりでゴジラという作品は「子供向けの皮をかぶった重厚特撮モノ」として、ニッチなジャンルとなっていきます。
そんな状況を立て直すことはできず、50周年という節目に「ゴジラファイナルウォーズ」で幕を閉じます。
(ちなみにこの作品でハリウッドゴジラっぽい奴がワンパンされるシーンがあります)
この「ゴジラの終焉」は、ミニチュアや着ぐるみを使った特撮作品全体に影響を与えます。
一番なのはその直後に「ウルトラマン」シリーズも一旦の終焉を迎えます。
予算や製作期間が溢れ続けたが、情熱でカバーしてきたゴジラシリーズ。
その最後は、非常に静かであっけないものでした。
復活「序章」
ゴジラシリーズは死んだ。
ゴジラのない世界が当たり前になり、特撮は戦隊と仮面ライダーのみとなった時代続きます。
そんな時、ある会社が東宝へ猛烈アプローチをかけます。
それが、ハリウッド映画会社の「レジェンダリー」でした。
*レジェンダリーとは?
もともとはワーナーと一緒に映画製作をする会社でしたが、単独での作品の大ヒットや、ダークナイトなどの評価を受け、単独でハリウッド大作を作るまでになった会社。
近年では「デューン砂の惑星」を作った事で有名
レジェンダリーと監督のギャレスエドワーズの猛アプローチを受け、東宝はある資料を渡します。
それこそが、かつての失敗を受け、いつかのために用意していた、
門外不出の「ゴジラマニュアル」でした。
東宝からの条件は一つ「”ひとつでも”守れないなら許可しない」
その熱を受け入れ作り上げたのが、ギャレスエドワーズ版「ゴジラ(2014)」です。
ハリウッドゴジラへのトラウマから、初動こそ悪かったです。
しかし、かつての日本のスクリーンヒーローが最新のCGでよみがえり、皆が望んでたゴジラとしての暴れ方を披露する。
海外では大ヒットを収めました。
この評価を受け、ハリウッドゴジラはシリーズ展開します。
かつての昭和怪獣プロレスをハリウッドパワーでド迫力に映す。
時代とともに姿を変えてきたシリーズだからこそ、「これもゴジラ」として受け入れられます。
今年はこのシリーズの続編「コングVSゴジラⅡ(タイトルめっちゃ端折ってます)」がやります!!観ようね!!(ダイレクトマーケティング)
復活「インジャパン」
海外の熱烈ゴジラ狂信者たちのラブコールに対応しつつ、日本でもある計画が始まってました。
東宝はある人物に声をかけます。それが「庵野秀明」です。
エヴァンゲリオンQの公開後、庵野監督はうつ病を発症していました。
そんな中、ジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんが、東宝のプロデューサーとの食事会を開きました。
ハリウッドゴジラの影響で東宝内にも生まれた「ゴジラ復活論」。
そのプロデューサーは帰り際に庵野監督に一言声をかけます。
「ゴジラ、興味あります?」
その一言が歴史を変えました。
そしてあの傑作、いや怪作「シンゴジラ」が生まれました。
怪獣プロレスのイメージが強い中、初代をモチーフにした内容。
未来兵器もない現実の現代でいかにゴジラを倒すのかというストーリー。
そして、得体のしれない怪物として新生したゴジラ。
かつてゴジラを見てきた者、初めて見る者、多くの人に衝撃を与えた本作は、
日本が忘れていた「ゴジラ」という存在を蘇らせました。
日本のゴジラ、大復活です。
君臨~アカデミー賞~
復活はしましたが、シリーズにはしませんでした。
憶測ですが、安易に続編が作れないことや、現代のニーズがつかめないなどの原因があったのではと思います。
アニメシリーズやハリウッド版、それらでゴジラという存在は生き続け、東宝の顔となりました。
そしてゴジラ70周年を前にした年、ある発表がありました。
新作「ゴジラ-1.0」製作決定。
監督にゴジラのCGで多方面で実績を作っている山崎貴。そして彼のCGチームの白組。
彼らの力で生まれた新たなフルCGのゴジラは、かつてのビジュアルを踏襲しつつも、生物味のました、まさに新時代のゴジラでした。
往年のゴジラファンは、まさに見たかったゴジラが帰ってきたと大喜びでした。
そしてこの作品は、海外で真価を発揮します。
初代ゴジラのような重厚な物語。日本が作れる恐怖の象徴としてのゴジラ。
ハリウッド版があれど、海外の重鎮たちが見たかったゴジラはまさにこの作品でした。
海外人気を受け、東宝は初めてゴジラをアカデミー賞候補に登録します。
海外の熱気は日本の想像以上であり、ついにゴジラという日本の象徴が、映画の頂点に立ちました。
めでたしめでたし…
ゴジラをまとめると
長い歴史を書いた後で申し訳ありませんが、全部書いていきますのでよろしくお願いいたします(笑)
では、これを踏まえて多岐にわたるゴジラのイメージについてまとめてみます。
・反核の象徴として生まれ、どんな作品でもゴジラは核兵器とともに描かれる
・時代とともに姿を変え、コミカルさやヒーロー感を出した時代もあった
・迷走しまくって一回シリーズがマジで終わった。
・復活の原因が海外の(変態)怪獣作品狂信者たち
・今はハリウッド=怪獣プロレス、日本=重厚作品でゴジラは続いている。
といった感じです。
時代とともにという点もゴジラにとっては重要な点です。
70年も続いているシリーズは、いつ見たかで印象が大きく変わります。
「ゴジラどれから見たらいいか問題」
この問題、実は私もこれといった結論がありません。
思い出補正でいくなら「ゴジラVSメカゴジラ(平成VSシリーズ)」ですし、
初見でも行けるなら「シンゴジラ」に「ゴジラ-1.0」。
昭和の良さなら「三大怪獣地球最大の決戦」。
でもやっぱり「ゴジラ(1954)」…
てな風になるんですよ(笑)
その人が子供の時に見た、ふと見たのが良かったなど、時代とともに姿を変えたゴジラだからこそ、
「その人にとってのゴジラ」
というのが出来上がるんです。
そこで皆さんに伝えたいことがあります。
・安易に「これが最強作品」という人
・これを見ないとファンではないという人
を信じないでください。
ここまで読んでいただいたなら、なぜ私がこういうか理解ができると思います。
それでもゴジラを勧めるなら
では、そんななかで各ゴジラシリーズがどういった人におすすめかを書いていこうと思う。
もちろん私の独断と偏見である。
・なんでもいいから”名作”を見たい。映画に詳しくなりたい→ゴジラ(1954)
・かわいい特撮、レトロフューチャーな雰囲気が好き→昭和シリーズ
・重厚な設定のSFが見たい。→平成VSシリーズ
・2000年代初期の作品ていいよね→ミレニアムシリーズ
・カイジュウ!! バクハツ!! コワセコワセ!! ビーーーームfoooooooooo!!!!
(頭空っぽにして暴れる90年代ハリウッド作品が好き)→ハリウッドゴジラ(モンスターヴァース)
・少し頭を使うような作品が好き。日本の政府が震災の時とかどう動くのか知ってみたい→シンゴジラ
・戦争関連の兵器とかが好き。日本の戦争映画は恋愛とか悲壮感とかがおおいからあまり好きじゃない→ゴジラ-1.0
て感じかな。
この中でさらに細かくありますけど、今回は読者にゴジラを知ってもらうのが目的なので割愛します。
最後に~私の思いを乗せて~
幼少期からゴジラとウルトラマンに囲まれてきた私にとって、ゴジラのアカデミー賞受賞は、まさにともに歩んだ親友が世界に認められたという感じでした。
しかし、この思いに反してある思いも生まれます。
ゴジラ-1.0の時、多くの批評家がレビューしました。
しかし、どれもこれも「作品が合わなかった」だの「演技がくさい」だの…
はっきり言って的外れなレビューばかりでした。
それに対して、昭和のゴジラを知っている岡田斗司夫さんのレビューが一番いいという現象が起きていました。
このゴジラの感想は、私も思わず「そう!そうなんだよ!!」と叫んでしまいました。
つまりこれ、日本人てゴジラを知らないんですよね。彼の歴史、取り巻いてきた環境、それらを知らないんですよ。
今ゴジラの良し悪しを話すとなると、ゴジラを知らないといけない。
でも私からすれば、「日本人ならゴジラ知ってるでしょ?」という感じなのです。
先ほどの動画のお二方もまさにそんな感じです。
(まあ、レビュー仕事にするなら調べろよともおもいますが…)
今、皆さんの思いは
「ゴジラってシリーズもの?敷居が高いなぁ」
「レビューでゴジラ-1.0が微妙ってあったしな」
「アカデミー賞とったけど、う~ん上2つのせいで気分が乗らないな…」
「ゴジラって子供向けってイメージ」
と、このあたりではないでしょうか。
ゴジラは面白いぞ。私が保証する!
まあ私の先ほどのリストを参考に見てみてください。
日本が生んだキャラクターゴジラ。
彼を知ることは、いつまでも我々日本人に、核兵器の恐怖を忘れさせないことに繋がるのです。