Kは
山の上で押さえていた気持ちがピークになって、
一線を越えてしまった。
私はそこで初めて
「Kは本気なんだ」って思った。
……と思っていた。
でも実を言うと、
そのあとホテルに行っても、
Kはいつもなかなか始めなかった。
あの時点で、
もうKの罪悪感は始まっていたんだと思う。
私は山の後、
どんどんKへの期待が大きくなっていった。
Kは“山での責任”からホテルに行ったんだ。
私が自己肯定感を取り戻して
喜んでいたのを見て、
すぐにはやめられなくなった。
私がどんどん楽しくなるのを見て、
ますます引くに引けなくなったんだと思う。
山の後、
Kの矢印はずっと下向き。
私は上向き。
きっとKの方がずっと悩んでいたはず。
やっちまった責任。
自分からは降りられない。
でもここで私を傷つけることもできない。
だからあいまいに距離をとっていた。
好きと言わない、期待させない
連絡もしない、約束もしない。
私を切ることもできない。
終わりにするのも、Kからは言い出せない。
Kが言い出したら、私が傷つくから。
Kは家庭に不満がある人じゃない。
週末は子どものために動き、
会社には奥さんの作るお弁当を持参。
下心とかワンチャンなんて一切なくて
つらそうなママ友を励まそうとして、
ほんの一瞬の流れで踏み越えてしまった。
Kにとっても
私は安全なママ友だったはず。
Kのほうが、
きっとずっと悩んで、
罪悪感と葛藤してた。
それで動けなくなった。
私には誠実に対応していたけど、
限界だったんだろうな。
男って、
やれる女をキープするもんだと思ってたけど、
Kは違った。
どこまでも真面目で、
やっぱり最初に私が思った通りの人だった。
不倫なんてできる人じゃない。
私は、
傷ついたのは自分だと思ってたけど、
Kのほうがずっと苦しかったんだ。
私が終わりを告げて、ほっとしたのかな。
それとも、
私に決断させて、やっぱり苦しいのかな。
決断できなかった自分を責めているのかな。
それでも
私はKに感謝してる。