「重さ当て」というイベントに参加した。


南ヶ丘牧場を歩いていると、参加券を配るお兄ちゃんに出くわした。私たちはたまたまその場にいたので、興味本位で参加券を受け取ってみた。


このイベントは、角が生えた変なだるまの重さを当てるというものである。台の上にふかふかした緑色の座布団が置かれ、その上にだるまが鎮座していた。そのすぐ下に、小さなぬいぐるみがビニール袋に入って置かれていたので、「あれが景品かな?」などと想像して私たちは笑いあった。


イベントの開始時刻がやってきた。私たちの参加券には「No.20」と書かれている。ホワイトボードには1から22までの数字。ほう、私たちは20番目の参加者なのだな。「重さ当ては後の方が有利だよね」などと想像して、私たちはまたまた笑いあう。


だるまの足元に置かれたぬいぐるみは、「答えはぬいぐるみの重さの32倍」というヒントのために存在するものだった。参加者はぬいぐるみの重さを確認してもいいという。


さあ、イベントが始まる。


元気な茶髪のお兄ちゃんが威勢のいい声をあげ、イベントが始まった。No.1の参加者はおじいちゃんだった。だるまを下から抱えるように両手で持ち上げる。むむ。おじいちゃんの回答は「7.5kg」であった。


次の参加者は背の高いおじさんだった。両手でだるまを持ち上げる。む。少し首をかしげ、ホワイトボードの数字を確認し、「7.8kg」とおじさんは回答した。


そんな彼らの回答を見て私たちは笑いあう。そんなに重いわけがない。最初の参加者の数字が基準になるんだね。2番目の人はそれにつられているんだよね。アホだねえ、なんつって。


大人が続き、しばらくすると男の子が登場した。小学校低学年くらいだろうか。むむっと持ち上げて重さを確かめる。6.5kgと答える。お。7kgをはじめてきった。子供が持てるのか。これはやはり5kg未満であろうと見当をつける。


また大人に戻り、7kg台、8kg台の回答が続く。「そんなに重いわけないだろ〜」と私たちはまたまた笑いあう。子供がやっと持てる重さだぞ。グフグフ。こりゃうちらが景品ゲットだね!


そうこうするうち、小さな男の子が登場した。4,5歳だろうか。だるまを持ち上げようとするが、手が回らないのか持ち上がらない。代わりにお兄ちゃんが持ち上げる。むむっと持ち上げ、4.5kgと回答した。おおっ!はじめての5kg切り。ライバル出現だ。


次に、小学校中学年くらいの女の子が登場した。彼女はひょいとだるまを持ち上げた。あれ?そんなに簡単に持てるのか?やはり軽いんだな。私たちは確信を強くした。


順番は17,18,19と進む。私たちは5kgを切ると予想していたので、この際回答は5.0kgにしようと重さを確かめる前から答えを決めた。


ついに私の番がきた。だるまを両手で持ち上げる。さて、重さはいかに。


「!」


お、重いぞ!驚いた。だるまが重いのだ。むむ、これは5kgじゃきかないのでは……?


「前の人の回答を見るなんてヘボい」先程まで人の批判をしていた手前、私はホワイトボードを見ることができない。だけど思わずチラ見してしまった。せっかく見たのによく見えない。頭が混乱してきた。手で持った感覚ではとうてい5kg以下とは思えない。だけど優勝を狙うなら極端な数字がいいはずだ!


「4.2kgで」


しまった!なんでそんな数字を口にしてしまったのか。そんなに軽いわけがない。そう思いつつ、それはもう後の祭りなのであった──。







この経験で感じたことがある。


それは、体の感覚の方が頭で考えることより事実に近いということ。


小さな男の子が持てない=軽いだろう。小さな女の子でも持てる=軽いだろう。最初のおじいさんの数字が基準になり、その後の大人はその数字から大きく外れない。よっしゃ、ならば私は極端な数字にしよう。


こうして私たちは、だるまを持ちあげる前からあれやこれやと考えた。人の動きを「こうだろう」と決めつけ、密かに「そんなわけないだろう」と笑っていた。


しかし実際はどうだ。実は、最初のおじいさんの数字がかなり正解に近かったのである。正解は7.9kg。優勝者は7.8kgと回答したおじさんだったのだ。


あろうことか私は、正解から最も遠い数字を口にしていたのだ。あれだけ人のことをグスグス笑っていたのに。全く……自分たちのアホさ加減に笑いがこみ上げてくる。


だけどこれは作戦だったのだから、それはそれで問題ない。この手の問題は優勝者以外、数字が近かろうが遠かろうが外れは外れなのだから。






なんて、負け惜しみを言いながら、なかなか面白い体験ができたと嬉しくなった。自分は天に試されたのだと思った。


何かって?


そう。人の感覚、体感が大事だということ。頭で考えるとろくなことにならないということ。自分を信じる、自分の「体感」を信じることが大切であるということを。





2017年12月31日、真昼の出来事だった。




明日からの2018年に向け、偶然にも大切なことを確認することができたと思う。大切なのは、自分の感覚。頭ではなく、体で感じたことなのだ。





あなたは今年、何を感じ、何を実行されましたか?




私は2018年、今年以上に自分の感覚を信じ、信じたことをすぐ実行に移していくことをここに誓います。




今年も大変お世話になりました。
いつもブログを読んでくださり本当にありがとうございます。


来年も今年以上に「うまく書けない」人が「楽しく書ける」ようになるヒントをブログに書き続けていきます。


引き続きご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。





もうすぐ年が明けますね。
どうか良いお年をお迎えくださいね!


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那須高原、アルパカ牧場にて。



文章プロデューサー
大竹ひろこ