スズキ SV650X 1時間レンタル インプレ | モトグッチV7Ⅲ Stoneとの日々

モトグッチV7Ⅲ Stoneとの日々

1970年生まれのおっさんライダーが初の二輪外車で感じたことを綴る。

バイクの日のツーリングの主目的は、こいつを乗りたいがためであった。

「スズキSV650X」。モトグッツィV7Ⅲを購入前、候補に挙がっていた1台。通っていたバイク屋がこいつのご先祖であるSV650(下の写真)を「いじって」くれさえすれば、これ買って乗ってたのにね。

これにセパハンを付けて、バンディット400LTDのロケットカウルを付けてそのカラーに丸ペンして乗ろうと思っていた。あ、それならSを改造したほうが良いのか。ま、それはともかく残念ながらその願いは叶わなかった。

 

レッドバロンが主催してた走行会でVスト650には乗った。その時のVツインはそんなに主張してこなかった。こんなもん?と。

スズキの販売店に無印のSVを試乗しに行った。そしてそれも残念ながらその販売店に試乗車はもうなかった。

もし、試乗してたら?自分のバイクライフは変わったものになったのか?

 

もしかして、SV650こそが自分の中の最適解だったのではないのか?これはV7Ⅲを乗っていてもそういう疑念が常につきまとっていた。これはしっかりと確かめるべきであろう。

 

「走行的なことだけ考えればSVが最適解。前後17インチホイールだしね。ただ、トータルの満足感で考えると走りはSVには敵わないけどやっぱりモトグッツィを選ぶな」

そんなところだろう。だからSVに乗ったからといって深く後悔することはなかろう、というのが自分の予想。

 

さて、SV650Xとご対面。マジマジと見るのはまだ参考出品だった前々回?の東京モーターショー以来。その時はZ900RSの実物が見たくて行ったんだけどね。無印SVも良いけど、より好みなのはこのセパハンの「X」。

実車を前にして近づいてしまうとそんなにディティールは気にならない。例えばぶっといダサいマフラーとか、仮面ライダーみたいなフロントとかテールエンドの泥除けフェンダーとか・・・。

メーターを覗き込む。スピードメーターはデジタルでも見やすいよね(針の方がもちろん好きだけど)。でもタコメーターはこの伸びるバーだと見ない。今のV7IIIかタコがないからかも余計そうかもしれないけど、エンジン音や振動でこんなもんか、と判断している。良いところはV7と違って常に時刻がわかるところ。自分は常に時間を見ていたいんだよね。V7もいつも時計表示にしている。

あとはハザードがある処とワンプッシュでエンジンがかかる処が良いね。

 

またがる。コンパクトで細身。そして腕を伸ばす。うぉ、低く遠い。足をかける。うん、後ろだね。

全てV7比。身体がV7に慣れてしまった今、セパハンバックステップポジションは戦闘機だ。オレ、V7でこんな姿勢で乗るのを正解にしようとしてるのかなぁ?一抹の不安(でもセパハンやっぱかっこいいね)。

 

エンジンをかける。マフラーからの音がグッチよりもやる気で良い音に感じた。クラッチもスパッと切れてしかも軽い。好印象。ニュートラルから1速へ。シフトフィールの節度感は日本車っぽくしっかりしたもの。走り出す。

ルドドドドドドド・・・・!!Vツインの好ましいパルス感とともに後輪が路面を蹴る。

「うほっ」

こりゃ、たまらん。自分の意識が付いていく程度の程よい加速感。100馬力オーバーのマシンとは違う、自分の良心が保てる速さ。良いね。

 

ただ、ただ・・・ポジションが思っていたよりキツイ。結構前傾姿勢だよね。

これ、V7の殿様ポジションと比べると別の乗り物だな。全く同じ乗り物と思えない。すぐに思ったのはこれツーリング行ったら我慢大会ですぐに弱音を吐きそう。でも、峠や高速道路専門なら気持ち良いんだろうなー。

 

あ、コースとしてはバイカーズパラダイスを右方面に出て伊豆スカイラインを亀石まで行き、Uターンして戻ってくるというコース。ちょうど1時間くらいとの事。

最初はただただ「速いけどポジションがぁ」とばかり思っていたけど、伊豆スカのなだらかなコーナーでも上手く曲がれない!!(笑)。セパハンで腕に体重が乗ってしまっているので、ハンドルをこじってしまう運転になってしまう。バイクは自然に曲がろうとしているのに自分が止めてるという・・・。

愕然としたね。

自分は前後17インチのバイクの方が合ってると散々思ってきたのに、全く気持ちよく乗れない。身体がグッチに慣らされているんだね〜。やはり2年も乗ってるとそうなるよね。

 

前傾姿勢も慣れないんだけど、お尻の位置もどこに収めていいかわからなかった。

前にしたり後ろにしたり・・・。どこも収まりが良くないのでとりあえずニーグリップをしっかりして、と。最後までこの辺は良くわからなかったなぁ。

レンタバイクだから無理は出来ないんだけどもしっかり倒して乗ることは最後まで出来なかった。

 

一度停めて、写真撮影。スタイルについては、特に何の感情も湧かず。こういうモノだよね、といった感想。でも嫌いじゃないですよ。これ。

気に入ったのはサイドスタンドの軽さと節度の良さ(笑)。V7は油ささないとすぐ渋くなっちゃうし・・・。あとガツンと効くブレーキ。タッチはブレンボのV7Ⅲより好み。気持ち良い。

そして車体の引き回しが軽い軽い。これは良いね。10kgくらいしかV7と違わないんだろうけどさ。

ただ、Uターンをしようとしたら「おっとっと」となってしまった。これはセパハンだからかな。

 

30分も走ると少しは慣れてきたけど、どうしても攻めよう(攻めなくちゃ)という気分のままアドレナリンが出る方向にいっちゃうんだよな。これ、アップハンの無印SVだったらどうなんだろ?エンジン特性は一緒だとしてポジションの違いだけで印象変わるかな?もし購入するなら無印の方が自分は向いてるかも・・・と思ってしまった。ただ、1時間もするとこのポジションにも慣れてきた。腰が痛くなるというほどでもないので、これは乗り方だろう。

 

乗ってわかるのはこのバイク、機械としてちゃんとしてるってこと。グッチの鷹揚な感じとは反対で精密。エンジンの粒状感というかパルス感は気持ち良い。縦置きじゃなくて横置きVツインなので、シフトダウン時の「気分的な?」横揺れ感はないし、ガンガン走れる感じ。でもV7のバタバタ大げさに揺れて動くエンジンの方が味わいがあって僕は好みかなぁ?やる気のVツインも攻めるのは楽しいけどね。

ただ、エンジンが急かしてくるんだよね、SV。この「急かす」っていう感覚はカワサキのパラツインにも似た感じ。ブロスのVツインはゆったりまったり系だったから。

そんなわけでポジションも相まってこの「X」は、景色を見ながら鼻歌まじりで走ることが難しいし、時速30km/hで走ってても楽しくないんだよね。前にクルマが詰まってると「チッ」と思っちゃう(笑)。

 

2年間グッチに飼いならされて(逆だけどね)きた自分としてはSVの「キッチリ」しすぎてる感じが息苦しい。グッチのいい加減な緩さが自分には合ってるし、1時間の試乗だけど早く自分のバイクに乗り換えたいな、とすら思った。

全くもって良いバイクであるのだが、グッチを知ってしまった今、SVは選ばないんじゃないかな?と思った。

 

これが結論だな。

そう考えると、今のグッチを購入した選択は間違ってなかったな。

うんうん、良い結論じゃないか(笑)。

 

SVを返却し、自分のV7に乗ってみるとあまりのポジションの違いに笑いが出た。このソファに座ってる感じ?これはこれで安楽で快適。ゆっくり走っても楽しい。そして何よりカーブも曲がりやすい。あれ?こんなに乗りやすいバイクだったのか。このノーマルハンドルのポジションも悪くないな(笑)。

今回は、V7の良さを改めて感じられるというある意味有意義な試乗になりました。もっとSVに心惹かれるかな?と思っていたのだけど。

ここのレンタルに是非CB650Rを導入して欲しい。さもなければ次は「ジクサーSF250」か「ドカのスクランブラー」かな?

 

・・・そして、夜には久しぶりにしたガチのニーグリップのおかげで腿が筋肉痛になりましたとさ。EX-4以来だなー、こーゆーの。更に夜になってもSVを引きずってアドレナリンが出てる。これも懐かしい感覚。EX-4で一日走り回った夜は必ずこんな感じの交感神経がバリバリ出続ける状態になってたのを思い出した。

それを思うとモトグッツィに乗り換えてからゆったりまったりのバイクライフになってるんだな。これは決してポジションだけの話ではないと思うのであります。