4月1付で、執行役員を命じる。

突然の役員就任。サラリーマン生活も33年を過ぎ、振り返れば、大学卒業後、就職に失敗して、翌年に途中入社で今の会社に拾われ、その後、現場、営業、海外と渡り歩き、左遷や、パワハラ、リストラなんでもありの世界を通り抜けて来て、辿り着いたポスト。

正直、役員になりたいとは思ったこともなく、ドイツにいる時には、今の会社にいる意味を失い、転職活動もしていた身。

捨てる神あれば拾う神ありである。

これも、先に書いた元社長が、一か八かで、カスタマーサービス再生を私に託し、成功した結果と後に知る事になる。

もし、失敗していたら、多分、56歳、役職定年で、給料半額、モチベーションダウンで、65歳まで、自分を殺して生きる事になっていたかもしれない。

サラリーマンとは、天国と地獄がいつも紙一重の世界。

どれだけ周りから優秀で、出世間違いなしと言われていても、最後の最後でどんでん返しのある人事は、山と見てきただけに、身震いがした。

56歳にして、やってきた最後のチャンスでもあった。

ただし、執行役員の辞令には、追加があり、何とカスタマーサービス担当の継続以外に海外を見る部署の部長兼務、プロジェクト兼務と幾つもの仕事がのしかかる内示であった。。

社長の欲張り!😆

終わりかけてたサラリーマン人生、これから何が待ち受けているのやら。

続く。

大阪に分室を作る。
そう決めたら、もう動くしかない。
当然ながら、反対派多数。
その昔、カスタマーサービスは、大阪、名古屋、東京の三拠点にあり、東京に統合されたのが数年前とのこと。(そんな事情は、当の本人は全く知らず)
目的は、コスト削減と効率化。一見ごもっともな話しだけれども、いざ何か起こると脆い。

地震、雷、火事、オヤジ。

今回は、オペレーターの離脱と管理職のモチベーション低下による思考能力停止。なすすべなく放置される業務。

組織としてはとてもやばい状況。

互いに何が起こっているのか関心もない。

電話の応答率は、史上最低を記録。漏れた電話は、他部署にもかかり、業務の邪魔をする始末。

やることは沢山ある。そこからは戦いの日々。オペレーターの話を聞き、改善出来ること、システムも含めて、なんでも取り組んだ。

幸いにも、自分の考えに共感して、力を貸してくれる人に恵まれた。

大阪の分室立ち上げも、身を粉にして
採用面接をしてくれる営業部長、喉から手が出るほど人が欲しいけど、ここで妥協したらアカンと言われ、鬼教官となって、選りすぐりのカスタマーサービス員を育成してくれた仲間達。

東京も負けてられるかと、管理職一丸となって、毎日、毎日、電話を遅くまで処理した。

その結果、応答率は月を追うたびに改善し、年が明けた日には、80%を超え、みんなで歓喜の涙を流した。

社長からは、当然ながら、お褒めの言葉をもらい(金一封はなかったが、😆)

オペレーターも集まり安定稼働するところまで来た。

あるオペレーターさんからは、謝ってばかりのカスタマーサービスから、感謝されるカスタマーサービスになりましたと御礼を言われた事を今でも思い出す。

夢中で走り抜けた一年であった。

そんなある日、役員から、呼ばれ内示
があった。

4月1日付けで。。。。


続く。

カスタマーサービスの仕事は、海外から
到着する貨物の配達予定を案内する仕事。一見簡単な仕事の様に思えるけれど、現地の集荷から輸出通関、日本への航空輸送、到着後の通関から配達まで
色んな手間が掛かる。一つでも欠けたり、また、予定の飛行機に搭載されないと、嵐の様に電話が集中し、回線はパンク状態に。オマケに貨物一つ一つにGPSがついているわけではないので、そこは、オペレーターの感と経験が活きる
仕事。
ちょうど本社社屋が、大都会の真ん中から、みんなが敬遠する倉庫街に移転する時期と重なり、オペレーターが大量に離職。

そりゃ電話繋がらん。パンクしますわ。
人も来ない。来てもこの惨状にすぐ辞めていく。

辛い毎日。

これが噂の生き地獄か!


でも、なんとしないと。

そこで思いついたのが、東京一極集中の回避。

大阪にあってもいいじゃんか。

電話は、コテコテの関西のあきんどからも掛かってくるので、東京のオペレーターにとっては恐怖そのもの。

姉ちゃん、はよ荷物寄こさんかい、何しとんねん。ダブルパンチでノックアウト。

よし大阪にカスタマーの分室を作ろう。 

大阪には、支社があったものの、当時はしょぼい事務所があるだけ。

一からの挑戦。

人の募集から、回線設置、スペースの確保、全て一から始めないといけない。 

でも、何か確信があった。

関西の客には、関西人のおばちゃん(いや、オペレーター)をつけたほうが絶対上手くいく。

関西出身のワテの言うことに間違いはない。

誰も考えなかった逆転の発想。

早くなんとかしないと。

焦る気持ちとなんとかしてやる。
そんな気持ちが交差していた。


終わった人だと思っていたのに、

諦め、打たれて、耐えるだけの社員や
派遣さんを見ていたら、そんな感傷に浸っているワケにはいかない。

なんとかなる。



続く。