宮崎県で働いている医師・地域医療評論家のブログ

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 働き始めて22年目の勤務医です。
 日々の仕事を真摯に努める以外にも,世の中に情報発信をするべきではないかと思うようになりました。
 その他、最近は公立病院の経営の問題を初めとするマネジメントの勉強の記録も兼ねてブログを書いています。  
 

④ 行政組織は「無能が目立たない」設計

 


官僚制の特徴(Weber)

出典

Max Weber『官僚制論』

決裁は分散

書類で責任が霧散

失敗しても「手続きは踏んだ」

👉
無能が長生きする環境

専門職から見ると
 

  • 誰が判断したのか分からない

  • 誰も責任を取らない

  • でも現場だけ壊れる


👉
👉 最も精神を削る構造

なぜ「絶望しやすい」のか

― 医療者 × 行政組織で起きる必然 ―


 専門職は「正解がある世界」で生きている

 

医療者の思考様式

  • エビデンス

  • 因果関係

  • 再現性

  • 結果責任(死亡・合併症)

👉
間違えれば人が死ぬ
思考は自然と厳密になる

行政・議会の思考様式

  • 合意形成

  • 前例踏襲

  • 誰も怒らせない

  • 次の選挙まで問題が顕在化しないこと

👉
正解より「無難」

 

🔴
この時点で世界観が衝突しています。

 

 

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 こういった理屈を踏まえると、串間市民病院において、市役所出身の総合職が病院事業管理者を務める状況が、なぜうまくいかないのか、別の角度からの解釈が可能になります。

③ 医療者は「説明責任」を引き受けすぎる


医師・管理職のクセとして、

「説明すれば分かるはずだ」
「理解してもらえないのは説明不足だ」

と考えてしまう。

しかしこれは、心理学的には過剰責任感です。

出典

Baumeister et al. (1994)
Responsibility and blame

👉
理解能力の差は、説明量では埋まらない

ここで医療者は

説明を重ねる

資料を作る

数字を示す

結果👇
👉 疲弊だけが増える