赫い月。アトガキ。 | ALMA - 元吉庸泰の活動碌 -

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舞台演出家・脚本家・演出助手
劇団『エムキチビート』主宰
PUBLIC∴GARDEN!主宰脚本演出
虚構の劇団にも演出部所属

3年ぶりの新作公演となった『赫い月』

初心に戻ってのエムキチビートの最初の路線に近い感じ。

 

アイワズライトでもそうだったのですが、何か社会的なメッセージとかではなく、ただちゃんと物語を描くことを考えました。

 

アイワズライトが女の子のお話だったので、男の子の物語をやりたい、と思いました。

背負ってくれた龍、のじ、晶、山さん、シオン、アベ氏、あかりちゃん、梅、かるぴん、劇団員。本当にありがとう。

 

 

 

これは、追想の物語でした。

 

 

明日佳の追想。

赤い月の下で生き続ける東吾の追想。

赤い月の下で待ち続ける2人(と、仲間たち)の追想。

赫い月。

 

その追想が紡がれ、72年前の8月14日へ事件が織られていく。

そんなイメージの舞台美術でありました。

 

東吾はゴドー。

明日佳の名前は、佳い明日。

 

いちばん最初の祐子はたぶん、祐子ではない皇族の誰か。

でもそこから72年前の世界を旅する妄想がはじまりました。

 

ベケットの『ゴドーを待ちながら』を下敷き。

ウラジミールとエストラゴンが待っていたのは死、という救い。なんだと僕は思い増して。

行き止まりしかなくて、待つしかできないそれこそは何もない場所で待ち続けることしかできないクーデターを起こした後の、宮城そのもの。その結果、永遠の時間をケンジとジロウは待ち続ける。

 

あと4206年伝えなきゃいけないこの物語。

東吾、昇介、明日佳の三世代。(東の空に陽が昇り佳い明日となる)

 

しかし明日佳は子どもを残せない。ここには祈りがありました。

血ではなく、言葉で、物語で。ひとは紡いでいかなければならないということ。

明日佳にたくしたかったのだと思います。

 

パンフレットでも書きましたが。2016年の春。私の祖母が亡くなりました。

祖母は痴呆で、僕の事もよくわからない状態でした。

ただ、僕の妻と、子供の名前は最後まで覚えていました。

その理由を、僕は考え続けなければなりません。

 

 

 

以下、言い訳。

 

 

とにかく書けない書けない。

 

宮城事件という1945年8.15クーデターを題材にしたのですが(もともとはもっと大きなくくりの革命の話をする予定だったのですが、これに絞ったのです)

 

これがまた難題。

 

というのも、この事件、たった72年前のことですが。真実が明らかになってない。

というか、真実が無い。

 

生き残っている人の証言はみんな食い違っているし。(その人の階級でさえ食い違っている)

 

映画『日本のいちばん長い日』は生き残った井田中佐の手記や窪田少佐の手紙などが大きいなもとになっていて、疑わしい記述や事実が多いです(井田さんは戦後、電通に入社しています)。ケンジ(畑中)とジロウ(椎崎)が主犯だったのかさえ疑わしい。

 

陰謀説を唱える『日本のいちばん醜い日』では昭和天皇の弟である三笠宮を黒幕としつつも。その三笠宮は昨年100歳にてご逝去。

 

つまり、真実は人の数ほどあるんです。あたりまえですよね。それが”現代の”歴史なんだろうし。それが妄想であり物語なのだろうなと思うのです。

 

 

軍事指導には『日本のいちばん長い日』や『シン・ゴジラ』を手掛けた越さん長谷部さんに入って頂きました。超絶感謝。

 

 

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目撃してくださったすべてのお客様に感謝。

まだまだ言い足りないのは久しぶりの新作だからか。

何かご質問あれば私のTwitterまで(笑)