PUBLIC∴GARDEN!
脚本:鴻上尚史
演出:元吉庸泰
『ハッシャ・バイ』
幕を閉じました。大阪一心寺からスタートして。サンモールスタジオで。
一面、砂。
砂、砂、砂の舞台美術でした。役者みんな足捻挫してましたね。ごめんなさい。
さて、恒例のアトガキ。
思えば2009年に虚構の劇団でやった時、僕は鴻上さんの演出助手でした。
単純にこの戯曲を選んだ理由はひとつ。「僕が、この物語が、好きだから」
2009年、虚構の劇団の『ハッシャ・バイ』の顔合わせの画像持ってました。
あたし何故ピンクのTシャツ。
念願の、この物語の演出でした。力不足上等。ただ思いっきり。
PUBLIC∴GARDEN!だから挑戦できたことでもありました。
完成したものが、僕の理想のクオリティだったかというと、答えられない部分が多いです。
というのも第三舞台版の『ハッシャ・バイ』を追っている僕がいるからです。
でもこのカンパニーとして走りきったことは、胸を張りたいと思います。
さて、以下アトガキ
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女1の物語に集約するものをもっとクローズアップしたいと思いました。
オリジナルの戯曲の入り口と出口を演出的にざっくり切り口を出した感じでした。(冒頭部分は虚構版の時に書き加えられたものなのです)、この迷宮の物語をたどる幹を太くしたかったのです。
すべての演出の前提は、この物語を
”昏睡する女1のお腹にいる胎児が見ている希望の夢”
と、いう定義をしました。
その生きようとする力が、救われない眠りについている彼女の、夢を探る探偵となって彼女の物語を紐解きます。
奇しくも稽古スタートの日、4カ月以上脳死状態の母体から赤ちゃんが産れるというニュースがやっていました。生きようとする力はなによりも、と思った次第でした。
舞台は希望にも、地獄にもなる砂。そして全ての始まりのベッド。
病室で彼女が迷い込んだ夢は心療内科で行われる、演劇のレクリエーションのイメージからスタート。登場人物は全て、彼女の物語。彼女の中の誰か。彼女の歴史の誰か。
白衣の男は、彼女のみを追います。物語の外側の人物。見守り続ける人物。
そして、自分の罪を許せない男2は彼女の中で葛藤を続ける現実の彼女の関係者。
男1は祈りを込めたおやすみを彼女に伝え、消えます。彼の物語はここまで。
だって眠りの中に救いは無いから。
最後は、彼女が目を覚ますその瞬間に、何を得て、何を見て、何に向かい合うか。
対面の客席。手前を奥でラストシーンの風景が大きく違います。
希望、でもその先は?それはあなた次第なのです。
とか、なんとか。どこからが夢で、どこからが現実で。そこもあなた次第で。
もちろん、このお話の解釈もこれに限りません。
それじゃあ、おやすみなさい。ハッシャ・バイ。