大陸からの寒風にさらされながら、水仙が咲き始める
国境の島 対馬に吹く風は北国の寒さに負けない
そんな寒さの中 夜も闇の中でも咲き続ける水仙

私はそれを一途な人の愛に感ずる
白と黄色の二色が私に問う純粋な愛
私はそんな愛を持ち合わせていない気がする

手を触れると壊れそうな愛
触れてはいけない愛

そうかと思えば水仙のささやきも聞こえる
もっとほほを近づけて 内緒の話があるんだよ

不思議な、不思議なお話がある
七十の年を越えた男女が十八の春に帰る
不思議なことだろ
そう思わないかい
それはね春まで長く咲く水仙の香り
鴻風安の詩集より