冬の風景
今年の対馬の冬はわりと暖かいです。

葉を落として春を待つケヤキ。

私の頭の上で枝を広げて、私を抱くように空にいる ケヤキの木。
下からは良く見えないけれど、小枝は春に芽を出す準備を始めているはず。
私は馬鹿丸出しのように、口をポカンと開けて真上を見ている。

思わずよろけた足元に、春のように緑のはっぱさんが生息する。
開けた口を思わず、一文字に結んで細い目をなお細くして水仙を見る。

狭いところでも咲こうとする水仙。
花の命は短いなんて人間は言うけれど、そんなことはない。
水仙は次の草花に 人間が春だと感じるまで咲く。

この水仙は年越ししても まだ咲いてる。
私からもぎ取られて、花瓶に入れられても それからもまだ咲く。

ほら。けなげに咲く。凛と咲く。悠々と咲く。
日によっては私を誉めたり、くさしたり、そっぽ向いたり。
それでも白い花びらの中の 黄色い丸い。そうだ湖にたとえよう。
その湖にも似た花弁は、いつも、どこからでも、私を見ている。

近所に咲いていた 水仙。