ヴィンテージ鍵盤ハーモニカ「Melodica」をMIDI化するプロジェクト「MeloMIDIca」。前回、基板を組み立てている最中に、JLCPCBから3Dプリント部品が到着したので、今回は鍵盤を組み立てていこうと思う。
開封
JLCPCBのおなじみな青箱だが、今回はなんとなく重い感じがする。開けてみたら、いつものプチプチ梱包ではなく、発泡材が敷き詰められていた。3Dプリントはデリケートな壊れ物だからか、プリント基板とは扱いが違うね。
検品(フレーム)
発注した部品は、フレーム本体と、鍵(白・黒)。それぞれに素材と製法が違うんで、念のため記しておく。
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フレーム:PA12-HPナイロン(MJF方式)
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鍵:ABSプラスティック(FDM方式)
調べたところによると、MJF(Multi Jet Fusion)というのは、粉末に熱を加えて形を作っていく方式らしい。カッチリした形が作れるのが特長だ。
というわけで、MJF方式のナイロン製フレームから見ていこう。
うん。たしかに、エッジも綺麗に出ていて、パッと見た感じ、かなり精度が高そう。
ノギスで寸法を測ったり、平面や直線が出ているかを見たりしたんだけど、どこもかしこも設計通りになっている。まあ俺の道具だと0.1mm単位でしか測れないんだけど、少なくとも0.1mm単位では正確だ。すげえ。
サポートから「0.8mm未満の壁は、ちゃんと作れない可能性がありますよ?」と云われていた箇所も、まったく問題なく成形されている。
「1.5mm未満の穴は正確に作れない可能性があります」と云われていた1.45mmの穴も、1.4mmのパイプが簡単に挿さってしまった。しかもガタつきがない。つまりほぼ正確に(少なくとも0.05mm以下の誤差で)できているということだ。
いや驚いた。業務用の3Dプリントって、こんなに精度高くできるんだ!
検品(鍵)
さてお次はFDM方式のABSプラスティック製、白鍵・黒鍵だ。。
FDM(Fused Deposition Modeling)というのは、よく見る3Dプリンタの方式で、溶かした樹脂をノズルからニュルニュル出しながら成形していく方式。ケーキにクリームをトッピングしていくような感じのやつね。
さっきのナイロンに比べて、ABSは全体的に精度が低い。
まず部品ごとに積層方向が違うのか、模様が違う。角は丸いし、部分部分がヘニャってる。このへニャり具合こそが、一般的なイメージとしての3Dプリントではあるんだけどさ。
先端の丸の部分が歪んでるのは、製造工程で先方が補助材(プラモデルでいうところの「ランナー」)を追加して、そこから切り出したからなんだろうなあ。補助材は自分で追加しないとダメだな。
細かく見ていくと、1.45mmの穴は1.2mmぐらいに潰れている。5.6mm寸法のところは5.9mmぐらい。どれも製造公差の範囲内ではあるけどね。この辺りは、組み立てのときに調整していかないといかんな。
調整・組み立て
さーて、部品の検品もできたんで、組み始めるとしよう。
フレームは手を入れるところがないけど、鍵については厚みと穴サイズを調整しなければ組めないので、そこから。
厚みは0.3mmだけ削ればいいので、ヤスリで調整。削ってはノギスで測る…を繰り返すのだ。
穴は、1.4mmのドリルで広げていくのだけれど、正確に1.4mmだと、同サイズのパイプを挿したときに遊びがなくて動きが渋くなってしまうので、若干広げ気味にしておく。
広げすぎてもガタつきが出てしまうので、ここは慎重に、実際に使う真鍮のパイプに挿して調子を見ながら、少しずつ穴を広げていく。
2
5鍵もあるから面倒だったけど、なんとか完了! あとはフレームに組み付けていくだけだ。
というわけで、今回の作業はここまで。次回は基板部分と合体させて、ハードウェアとしては完成させることにしよう。
(次回に続く)