ハリケーン・サンディ | 敦賀明子のN.Y.漫遊記

敦賀明子のN.Y.漫遊記

NewYork在住のジャズオルガニスト敦賀明子の日記です。

 
今回のハリケーン、今までの出来事をまとめて書いてみました。

10/27(土)
日曜日にハリケーンが来ると聞いたので食料を買いに行く。途中で車のタイヤがパンクしてしまって応急処置をしてもらったけど、タイヤがかなり痛んでいるので月曜日に新しいのに付け替えてもらう事に。お店ではみんなキャンドルを買っていて、どうしてかな?と思ったけどあえて買わなかった。今思えば停電に備えていたみたい。
私は昨年8月末のハリケーン・アイリーンが来た時はサンフランシスコにいて、帰って来たら家の周りが浸水していて避難勧告が出た。なので今回も浸水の事ばかり考えていて停電の事はあまり考えなかった。夜はルーさんとギグ。

10/28(日)
午後2時から6時までハーレムでギグ。昼の時点で地下鉄が6時に止まるとの事だったけどその時はそんなに風も強くなく、まだ大丈夫なんじゃないかな?なんて思った。
でも時間が経つに連れて、ニュージャージのどこそこは既に避難勧告がでているらしい・・との話を聞いて、不安になる。
帰りにフォートリーのコリアンスーパーによって水や食料を買いに行く。
きっとこの2、3日家から出られないからたまった仕事をしようと思っていた・・雨はまだ降り始めておらず普段とそんなに変わらないと思った。

10/29(月)
昼過ぎから雨。そんなにひどくない。風もそんなにひどくない。練習をしたり、念のためお料理をしたりした。今思えばご飯を炊いておけばよかった。
一日中テレビをつけっぱなしにして、ラジオも聞いていたんだけど、夕方になるに連れて風が強くなり、窓のすぐ外にある樹々が揺れ始めた。電気が数秒止まってまた元に戻るというのが何度も続いた。
ニュージャージーの情報のチャンネルでは知事のクリス・クリスティがスタジオで直接市民から電話で質問を受け付けていた。この人、ニューヨークのブルーンバーグ市長みたいな感じ。なかなかやり手だと思った。
その後、風が怖いので飲みながらパソコンでゲームをする。時々友達から電話がかかってきたり、かけたりしたけど、ブルックリンの海沿いの友達は波を見に行っているらしく、すごい人だと言っていた。←これ、危険です!
そして夜9時。何度かついたり止まったりしていた電気が完全に止まった。
実は数日前に友達が家にきた時に家のライターを持って帰ってしまったので残りはマッチ数本。懐中電灯もなぜかつかない・・
とりあえず家中のキャンドルをかき集め、ウォークマンにラジオがついている事に気がついてラジオ聞いたり音楽を聴いたりした。でもiphone, iPadも大切に使わないと充電がなくなる・・・。
風はどんどん強くなっていて、車に直撃したらどうしよう?なんて思いながら早めに寝る事に。

10/30(火)
起きたら電気がつかない。携帯の充電も減りつつあるのと、マッチかライターの予備を持っていないか近所の人に聞くことにした。家を出ると廊下は真っ暗。
車に行って携帯の充電をしながら同じアパートの住人にマッチを持っていないか聞く。
その中の一人が家から持って来てくれて、もう一人の人はその後、家までキャンドルに火をつけに来てくれた。感謝。
そんな時に隣のWillyが通りかかり、うちから5分のところのコーヒーショップは停電していなくて営業していると聞いた。一人で行っても大丈夫かな?と聞いたところ、一緒について来てくれて携帯の充電もさせてもらった。このお店、イタリア系のおじいちゃん達が集っている場所でとっても美味しいカプチーノを飲みながらテレビを見た。
ニュージャージーの南の方の被害がすごく、演奏で何度も行った事があるところが壊滅状態。みんな口を揃えてオーマイガー。ちなみにうちの近くの昨年決壊した滝は大丈夫そうだとのことだった。

その後、する事がないのでピアノを弾いた。ネットにもつながらない。携帯電話だけが頼り。
リビングルームは4時には暗くなり、ベッドルームは6時ぐらいまでは明るいのでそっちに移動して音楽を聴いたり本を読んだりした。
暗くなったら急に寒くなって、時々FaceBookをチェックしたりしていたんだけど、その時にブルックリンの友達がうちにおいでよーと言ってくれている書き込みを見たのでよく朝起きたらとりあえずお料理だけさせてもらう事にした。
この日はジョージワシントンブリッジはオープンしたみたいだったけど、マンハッタンは通行止めが続いてブルックリンまではどうみても無理だった。
特にする事もないので早く寝ようと思うんだけど寒くて眠れない。そして外のジェネレーターの音(防犯用に明かりをつけていたみたい)がうるさくてなかなか寝付けなかった。

10/31(水)
朝起きて友達の家に行こうと思ったら、子供のハロウィンで今日は忙しいと言われがっかりする。他の友達に電話してもつながらず(その時間、ブルックリン地区への電話がつながりにくかったそうです)車で走っていたら開いているコーヒーショップを発見。行ったら長蛇の列。そしてコーヒーをゲット。その後家に戻ると、電気はまだだけどお湯は出るようになったと聞いてシャワーを浴びる。
うちのビルディングのオフィスの人が尋ねて来てくれ、昨年のハリケーンでは1ミリオンの世帯が停電し、復旧まで一週間かかったそうだ、そして今年は2ミリオン・・いつ復旧するかもめどがつかないそう。
翌日のギグのキャンセルのお知らせを受けていたのでドラマーの人に電話してみると、彼が住んでいるOrange NJは停電しなかったものの、ガスステーションには長蛇の列ができていたと言っていた。その時点で私の車は満タンからメーターがちょっと下がったくらい。
ピアノを教えている子供のお母さんに電話してルート4のTargetが開いている事を聞いたので買い物に出かけ、念願のライターとキャンドルをゲット。その時点ではまだガソリンスタンドには列ができていなかった。多分午後2時ぐらい。ちなみにモール中のコンセントには携帯電話、コンピューターの充電に来た人で一杯だった。初めて見る光景。
そして家に買える前(午後4時)に念のためにガソリンを入れようと思ったら全部売り切れ。嫌な予感がしてやっぱりブルックリンに行くことにした。
うちは車なしでは身動きが取れないし、もしもガソリンが底をついた時に全く一人になると思ったので、無理をしてでも友達がたくさん住んでいるブルックリンに行こうと思った。
近所の人たちは交通渋滞がすごいし、危険だからやめておけ・・と言われたんだけど・・・荷物とオルガン(SK-2)とパソコンを車に積んで出発。
マンハッタンのイーストサイドは水に浸かっていて通れないと聞いたので、ジョージワシントンブリッジ→87→トライボロブリッジ→BQEでブルックリンに到着。思いのほか道はスムーズ。ちなみにどのガスステーションも長蛇の列。
泊めてもらうのんちゃんのお家は彼女のルームメイトがたまたま国に帰っていたので、そのお部屋に泊めてもらえる事ができたのだ。ほんとにラッキー!
そしてそんな時にルーさんから電話が入る。ルーさんのお家も停電してホテルに避難したそうだ・・・。ブロンクスは大丈夫だと思っていたのでびっくりした。翌日(11/1)はルーさんの86回目のお誕生日。ホテルで迎える事になりそう。

11/1(木)
前夜飲み過ぎで起き上がれない。ほっとしたみたい。ここは天国。外に出てみると全く普通の光景。昨日家を出る時に私だけ避難して申し訳ないなーと思ったけど、やっぱり来てよかった。
夜は友達が自転車で40分かけて来てくれてお寿司に連れて行ってくれた。うれしかった。ご飯を食べている時にたまたま近くに住んでいるベースプレイヤー氏が通りかかって3人で話したんだけど、どうやってマンハッタンまで行くか・・今のところ車には3人乗っていないと入れないらしい。そしてダウンタウン・ブルックリンまでは地下鉄が走っていて、そこからはシャトルバスで59丁目まで行くそうだ。マンハッタンは39丁目から上は電気がついていて、通常通りらしい。106丁目のジャズクラブSmakeは外にまで列ができたそうだ。

11/2(金)
今日はJFK空港の近くでギグ。電車とバスで行こうと思ったんだけどあまりに時間がかかりそうなので車で行く事にした。ニューヨークの港にガソリンを積んだ船が着いたというお知らせ、少しずつだけど電気が戻って来ているというお知らせ、電気会社の工事の人の姿を見たのでもうすぐ電気が戻るとと思うというお知らせ、そして今日の5時でマンハッタンへの車での通行制限が解除されるというお知らせ。Smallsはジェネレーターとキャンドルでオープンするというお知らせ。すごい!少しずつだけど明るい光を感じている。。。