「カステラが食べたくなってきた」
夕食後、中２の息子が言った。
どうしてもカステラが食べたいらしい。
「コンビニ行ってくれば？」
「コンビニのはイヤやねんな」と呟く。
そのあたりの“こだわり”が、いつもボクには分からない。
そのうち、あきらめるだろう。
しばらくすると、台所から「ザラメあるかな？」との声。
「無いよ」と母。
「カステラ おいしい で調べていたよ」と教えに来てくれる小1の娘。
ネットで、カステラのレシピを調べたのだろう。
「新聞紙で大きな箱、作れるかな？」
娘に聞いている。
カステラ おいしい をつくるのに
いつも娘が折紙でつくっている「箱」の大きいサイズが必要らしい。
「いいよ。じゃあ新聞紙もってきて」と娘。
持ってくる息子。
ボクは自室に戻った。
午後10時半過ぎに「オヤスミ」と息子。
「カステラ食べたらあかんで」と言い残し、彼は去っていった。
翌朝、「カステラできた？」と母が息子に聞く。
「出来たよ」
「美味しかった？」
「食べられるのは３日後」
はぁ？？
見てみると、キツネ色の四角いスポンジが、ラップに包まれている。
３日間、寝かせなければならない、らしい。
カステラ おいしい のレシピによると。
こんなところは律儀だ。
「食べてないんかい」
「買った方が早いやん」
思わずツッコミを入れてしまった。
心の中で。
何事も無かったかのように、
平和な人々の一日が始まった。