親父は、私が24歳の頃死んだ。
脳血栓だった。
良く一緒に釣りに行った。
都農や美々津の漁港、沖磯にも行った・・・はずだ!
そして、私は、高校3年の頃、美々津に徹夜でスズキを狙いに行った・・・はずだ!
眠くなり、車で寝ている私に、親父は、「釣りに来たから釣らないと釣れない。」と言った・・・はずだ!
家にいたんじゃ釣れない!そんな態度が見え見えな親父で、なにかにかこつけて釣り場へと出かけていた。
釣りに行く回数は、当然釣果に反映する。
魚を、良く持ち帰っていた記憶がある。
一晩中、美々津でスズキを狙い、私は車で寝て、親父は竿を握り続けた。
結局、二人とも連れずに、親父は仕事へ、私は学校へと行った。
数日後、親父はとうとう釣り上げ、嬉しそうに魚拓を私に見せた。

私も、その頃に釣ったと思っていた68cmのスズキだった・・・はずだ!
ふと思い出し、魚拓があった気がした押入れの書類の隙間から、古い魚拓を見つけ出した。
昭和54年、3.5kgと記されていた。
しかも、名貫川河口でだ!
測ると62cm。
謎は、私が20歳・・・大学生のはずの、しかも3月7日だ。
春休み?
判らない・・・。
親父は、釣りを止め、何か夢を見失った様に、パチンコ店に通い始めた頃だ。
今日の夜も、一ツ瀬川にロッドを振りに行く。
振出の安い8.6ft/MLのシーバスロッドは、実にバランスが悪く、ガイドにPEラインがよくまとわりつく・・・。
実に煩わしいロッドだ。
「迷い」に迷っている、ルアーチョイスだ・・・、落ち着くまで負のスパイラルになるのは判っていた。
判っていながら、沈むタイプの飛距離の出るルアーを3つ購入した。
「ima 魚道 110MD」のアカキン・姫イワシ・マグマキャンディー。
ヒラメ用だが、これで架橋の深みを探りたくて、しかも今夜みたいな雨の時は、架橋下が濡れずに済むと踏んだ。
沈むタイプのこのルアーを、川上に思い切り投げた!
とたん、ガイドの2番目にPEラインが絡まり、リールが巻けない。
あわてて糸を直し、巻こうとすると、沈むルアーは、ガッチリ根がかりした。
アカキンのルアーを川底に引っかけロスト・・・あーゴミを増やしてしまった。
そして、2個残った。
imaのルアーは、人気だが、私には釣果は出ていない。

今まで、釣りはたくさんの事を教えてくれた気がする。
一人、大学で青森へ行った頃、良く「イワナ」釣りに出かけた。
一人で行くうちに、友達も同行し始め、そんな友とは気が合った。
就職した頃、大阪の港に、休みの日は出かけた。
次第に、職場の先輩と和歌山へと磯通いを始める。
はまりにはまった「紀州釣り」「グレのフカセ釣り」・・・、真剣だったなぁ~。
先輩は、「もう止めるんか!しつこくないと釣れんで!」と、私をあおった。
後、「お前は、ほんましつこいヤッちゃなぁ~!」と、目を細めてくれた。
そう、釣りは、行かんと釣れん!そういう事やなぁ~!・・・親父の言うとおりだ。
ルアーは迷いに迷って、あれこれ買えばいいが、釣果は釣りに出かけんと上がらんわ!
当たり前だが、それが難しいんだなぁ~。