誘っても山には行かない次男も、渓流釣りや沢登りになるとついて来る。
久しぶりに、雲は高く、尾鈴山塊には垂れ込めていない。
袋谷の最初の橋横に駐車し、入渓した。
 
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ロッドを振りながら進むも、なかなかルアーに乗らない。
小さい頃から、時々、沢を歩いている息子は、増水の沢でも、怖がらず岩を確実に踏んでいた。
すくみそうな激しい流れに、躊躇せず向こうの石に乗り移れた。
短いゴルジュの入り口に立つと、空が暗くなり始めた。
何度か登った、ゴルジュの壁で、ロープを出す。
取付いて気付いたのは、握って乗り越した浅いハングの細木が腐り落ちていた。
ぬめる壁の途中で、ヒビッて弱音を吐く親父を、下から息子は声を出して笑った。
落ちそうだから、確保しているつもりの息子の事を考えると、バックアップを取らなかった。
短い足が、届くか?大丈夫か?確証もない細木に、思い切ってスタンスを探る。
落ち葉の中に、腐り落ちた木の根を探り当てた。
じわり抑えて立ちこむと、なんとか切り抜けて上の細木を掴むと抜ける事が出来た。
上の太い木にセルフをとり、息子の上がれる側にメインロープを回した。
親父が落ちる事を知り、確保する事を知れば、もう少し厳しい沢にも連れていける気がした。
親を信用している息子の内は、なんとしても私の行けるところしか連れてはいけない。
 
雨が本降りとなり、林道へエスケープを決めた。
息子は、もっと釣りたかったみたいだが、中止にした。
エスケープに取りついた尾根の斜面は、一部崩壊跡があり、そこに抜けれそうなルートを見出した。
大岩に倒れ掛かった大木を掴むと、ズズズッッとずり落ち始めて焦った。
そのままずり落ちれば、おおきな根側が息子の上に落下しそうだった。
こっそり潜り抜け、事なきを得たがヒヤリの場面・・・。
情けない。
「あ~!ここに来たらもう晴れちょっが!!」
と、息子の残念そうな顔・・・。