長男、中学1年。
学校では、レスリング部に所属し、高校生の先輩達と練習している。
ずいぶんたくましくなった。
間もなく、中学の文化祭がある。
そのステージ部門には、オーディションがある。
「お父さん、ボク、受けてみる事にしたっちゃが・・・!」
と、突然言ったのは2週間前の事・・・。
生徒会で頑張る次女中学3年も、今年の高校文化祭でステージに立った長女高校2年も、彼の発言に驚いた。
「えーっ、1年で出るって?」
「あんた、すげぇチャレンヂャーやなぁ!」
「大丈夫?」
そう、あの恥かしがり屋で、偏屈な性格の長男が、いったいどうしたという事なんだ!
しかも、たいがい友達とグループで出るのが多い中、単独で出ると言うのだ!
しかもしかも、「歌う!」と言うではないか!
私に似ていりゃ相当な音痴である。
大体、彼が歌うという行為をあまり聞いた事がないし、ステージに立てるのか?と思った。
そりゃ、幼稚園のお遊戯会でステージ立つ彼を見たことはあるが、あの時も鍵盤ハーモニカのパイプのコードを弄っていただけで、演奏はしなかった。
「何を歌うんや?」
「ボクの好きなバンプ・オブ・チキンの【車輪の唄】よ!応募用紙にはグループ名も書くようになっちょったかいジャンプ・オブ・チキンと書いたっちゃが・・・。」
と、ニヤニヤ話してくれた。
彼がそういうのだから、そうなんだろう・・・と思っていた。
一応親だから、心配になり
「歌詞は覚えちょっとか?人の前で歌えるか?練習はしよっとか?」
と、あれこれ聞くが、ニヤニヤ頷くだけである。

そして、木曜日、そのオーディションがあったそうだ。
1年では、そのオーディションを受けたのは長男一人であったそうだが、1年と言う事で1番目にステージに立ったそうだ。
「お父さん、やっぱ緊張するわ!途中で引っ掛かったら、あちこちと歌詞が出て来んでかいよ!2/3しか歌えんかったっちゃが!ボクが審査員だったら落選さすっね!あんなんじゃ・・・。」
と、いい気なモンである。

やはり心配な親心・・・、翌日、気になる結果を聞いた。
「合格するはずねぇわぁ~!じゃけんいいっちゃが!2年でも3年でも、どうせボクはオーディションを受くっちゃかい・・・。」
あくまでも前向きな彼である。
少し、親として反省すべきは、前向きさは申し分ないものの、出るからにはそれ相当な練習も必要なんだ!という事を諭すべきかとも思った。

いい、息子である。