【 リアル・オプションの本源的価値 】
先日、「道具としてのファイナンス」(石野雄一著、日本実業出版社)を読んだ
https://www.njg.co.jp/book/9784534039484/
以下は第5章~第7章のまとめ(その4)
第5章 資本市場に関する理論
1.債券とは発行時に定められた条件にしたがって、定期的に一定の利息を支払い、満期日に額面金額を償還(返済)することを発行体が約束している証券である
2.債券の「利率」とは、債券の額面に対して何%の利息がつくかという割合を示すもので償還されるまで変わることはない。一方、「利回り」は、投資元本(購入価格)に対して、1年当たり何%のキャッシュフローが得られるかを示すものであり、利回りは債券の価格(購入価格)によって変化する
3.債券の価格はその債券が生み出すキャッシュフローの現在価値の合計である。したがって、市場金利(割引率)が上がれば債券価格は下がり、市場金利が下がれば債券価格は上がるという関係にある
4.債券投資には、発行体が倒産するという信用リスクや、市場金利の変化によって生じる価格変動リスク、また、売買が極端に少なくなることで取引が成立せず、売却したいときにできない流動性リスクなどがある
5.市場金利の変化による債券価格の感度を示す指標がデュレーションである。また、金利が1%変化したときに債券価格が何%変化するかを表わすのが修正デュレーションである
6.各期間とそれに対応する金利との関係を表わしたグラフをイールドカーブという。短期金利が低く長期金利が高い右肩上がりの形(順イールド)になるのが一般的である。一方で、マクロ環境によっては、短期金利が高く、長期金利が低い右下がり(逆イールド)になることもある
7.金利と期間の関係に関する理論を金利の期間構造理論といい、イールドカーブの形を説明する仮説として、純粋期待仮説と流動性プレミアム仮説、そして市場分断仮説の3つがある
8.配当割引モデル (DDM : Dividend Discounted Model)とは「株価は株主が得る配当を株主資本コストで割り引いた現在価値の合計である」という考え方をいう
第6章 デリバティブの理論と実践的知識
1.デリバティブは、一般的に先物(futures)、スワップ(swap)、オプション(option)やそれらを組み合わせたものである
2.先物とは、将来の特定期日に現時点で取り決めた価格で、特定の商品を売買する取引をいう。先物取引を契約した時点では金銭のやり取りはない
3.金利平価(Interest Rate Parity)とは、将来の為替レート(たとえばドル/円の交換レート)がドルと円のどちらで資金運用しても受取額が同じになるように決まることをいう
4.購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity)とは、将来の為替レートは通貨間の購買力を一定に保つように決定されるという考え方である。購買力平価はさらに絶対的購買力平価と相対的購買力平価に分けられる
5.クロスボーダー投資のNPVの算出には自国通貨法と外国通貨法がある。市場金利、期待インフレ率など前提条件が同じであれば、NPVは同じ値になる
6.スワップ取引とは、将来の特定期日にある対象物を交換することを意味する。スワップ取引には、固定金利と変動金利の交換である金利スワップ、通貨の交換である通貨スワップなどがある
7.オプションは、株式や債券などを、ある特定期日に、ある数量、ある価格で買う権利あるいは売る権利のことをいう。買う権利のことをコールオプション、売る権利のことをプットオプションという
8.オプションの価値は次の式で表わせる
オプションの価値=本源的価値+時間価値
9.プットオプションとコールオプションの価格にはプット・コール・パリティという関係がある
10.オプションの価値算定には、ブラック=ショールズ・モデルと二項モデルがある。いずれもオプションと同じペイオフを持つ複製ポートフォリオを作成し、一物一価の原則からオプション価値を求める考え方に基づく
第7章 経営の自由度の価値評価
1.NPVでは、投資実行後の事業環境の変化に応じて、事業計画や戦略を変更するといった経営の自由度の価値をとらえることができない
2.経営の自由度の価値の評価方法には、ディシジョン・ツリー分析法(DTA:Decision Tree Analysis)とリアル・オプション法(ROV:Real-Option Valuation)がある
3.リアル・オプションとは実物資産(Real Assets)を原資産とするオプションのことであり、代表的なものには、タイミング・オプション、成長オプション、段階的オプション、撤退オプションなどがある
4.拡張NPVは、経営の自由度の価値を含んだものであり次の式で表わせる
拡張NPV=従来のNPV+経営の自由度の価値
拡張NPV>0であれば投資実行、拡張NPV<0であれば投資見送りとなる
5.リアル・オプションの価値算定の方法としては、ブラック=ショールズ・モデルと二項モデルなどがある
<感想>
著者の言うとおり、(期日のない)「リアル・オプションの本質的価値とは、経営者が決断できること」であり、経営者の行使(タイミング)次第で如何ようにもなり得る
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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